追い詰められた少女が取った行動は
奏さん
「学校にいかないとなと思っていたら、朝からこう…訳もわからず泣いちゃって」
字が書けないことや、うまく友だちが作れないことなど、これまで苦労した思いが「学校を休む」という形で現れてしまいます。
さらに作品作りでも壁が立ちはだかります。エイのエラをイメージしたポケットが難しく、うまく仕上がりません。挑戦しているのは、ポケットの口を別の布で処理する両玉縁と言われる加工技術。スラックスなどで見られるポケットですが、作業工程が多く複雑です。試作品を何度も作りますが、納得する仕上がりになりません。

材料を買う行きつけのお店でも、布の処理や縫い方など、マネキンの服をつぶさに研究する奏さん。学校に行きたくても行けないジレンマを作品作りで紛らわせていました。
作品を作り始めて4カ月。
自宅を尋ねると、奏さんはタブレット端末で学校の授業を受けていました。これまで学校とはプリントを通してのやり取りだったのが、少しずつリモートでの参加に変わっていました。
奏さん
「苦手なものをこのままおいておくのもちょっと…だめかなと思って」