佐藤悟朗 理事長・院長
「精神疾患としては妄想性障害であるだとか統合失調症という疾患が一番疑われる疾患になると思います」


電磁波攻撃や頭の中の盗聴をされていると思い込み、悩んでいる人は、それを病気とは思わず、なんとしても解決したいと、病院に行くよりも寄り添ってくれる探偵を頼ってしまうというのです。

佐藤悟朗 理事長・院長
「『盗聴されているから盗聴器を取り外してあげましょう』と。電磁波攻撃を受けているのであれば、電磁波をブロックするようなモノを売りつけることができる」


「そうすれば、(被害者)本人は一時的には安心する。だましやすい。医療従事者としては病気につけ込んでお金を搾取するっていうのは本当に許せない」


しかも、「被害」はなかなか発覚しません。

草津病院 佐藤悟朗 理事長・院長
(だまされていることに)ご本人も気づかない。そういうことは、たくさんあるんだろうと思います」


精神疾患を持つ人たちを狙ったとされる今回の事件―。専門家によりますと、同様の事件はこれまで表沙汰になりにくかったとされています。なぜなのでしょう。

理由の1つに、被害者に「被害の自覚がない」場合が多いことが挙げられます。病気だという認識がないまま、妄想や幻覚の症状に苦しむ人たちにとって、探偵は味方であり、理解者。調査料が仮に法外なものであっても、本人としては納得したうえで支払うことが多いのだそうです。


実際、警視庁は、この探偵会社はほかにも精神疾患がある人から合わせて215件の契約を結び、およそ1億3000万円を不正に得たとみています。

探偵会社による精神疾患がある人を狙ったビジネスに対して、長年にわたって警鐘を鳴らし続けている探偵が広島にいます。今回の事件をどう感じたのか、取材しました。


総合探偵社 フォーチュン広島 重川亮 代表
「一部にはそういった探偵社は存在しています。やっぱり許せない」


広島市西区にある「総合探偵社フォーチュン広島」の代表・重川亮さんの元にも「電磁波攻撃」や「思考の盗聴」という相談が持ち込まれます。

重川亮 代表
「月に3~4件は(そういった相談が)あります。自分が考えていることが社内や学校などでみんなにバレていると」


「もしかしたら頭に何らかの機械を埋め込まれていて、どこかに受信器があって、それを聞かれているんじゃないかと」