重川さんは、妄想や幻覚などに悩む依頼者を医療機関につなげる活動を20年にわたって続けています。きっかけは、ある若い男性からの盗聴器の捜索依頼でした。

重川亮 代表
「(依頼者の部屋の)壁中・天井中に穴が開いていたんです。自分で盗聴器を探そうとしたんでしょうね」

結局、男性の部屋から盗聴器は見つかりませんでしたが、それから数か月後…。
重川亮 代表
「男性のお母さんから相談があって、『実は息子は納得してなくて、ほかの探偵社にまた盗聴器の捜索を依頼した』のだと」

「『そこで数百万円くらいをとられてしまった』と。ちゃんと最後までケアしないと、悪質な探偵社の被害、『カモ』になってしまうんだなと」

以来、重川さんの紹介でこれまでにおよそ60人が通院するなどの医療措置を受けることができたといいます。
インターネット上では「電磁波攻撃」や「思考盗聴」の解決をうたう探偵会社が多く見つかります。重川さんの活動は、同業者から疎ましく思われることも多いそうです。

総合探偵社 フォーチュン広島 重川亮 代表
「(探偵の)イメージが悪化するのが許せない。今回の逮捕は氷山の一角で、今まで逮捕に至っていないケースの方が圧倒的に多かったと思う」

精神疾患のある人が自覚しないままに狙われる悪質なビジネス。佐藤院長は、気づいた人が、まずは専門の医療機関に相談してほしいといいます。
草津病院 佐藤悟朗 理事長・院長
「本人にとって(電磁波攻撃などの妄想は)すごくつらい体験。家族として『あなたが、こんなつらい体験をするのは見過ごせない。少しでも光が差すようなことがあれば、やはり病院には一度相談に行ってみるべきじゃないの』という説得の仕方がいいと思う」

― 探偵の重川さんは、精神疾患に対して社会全体がもっと関心を持ってもらえたら、と専門誌に連載をするなど活動を続けています。
― 精神科医の佐藤院長によりますと、まずは専門の病院やクリニックに相談を、とのことです。

― 病院などに抵抗感がある方は、役所の保健センターなどに相談する方法もあります。ご本人が難しいようであれば、家族だけでも、まずは動いてみることが大切だということです。