お店と自宅全壊 「この先家族をどう養えばいいのか」

輪島市で料亭「のと吉」を営んでいた、坂口竜吉さん(48)。


お店と住まいは、地震で全壊しました。2024年の夏ごろ、ようやく解体が始まり、更地になりました。

1年前に取材した際は、避難所の食事を作っていましたが、今は、復興に携わる作業員に腕をふるっています。でも、作業員たちは輪島を離れるため、この日が最後となりました。
坂口竜吉さん
「料理しているときが一番気持ちが安定しますね」
本来なら、今ごろ仮設の店舗をオープンできるはずでしたが、その通りには進みませんでした。

坂口竜吉さん
「自分のなりわいが整わないと、精神的にも不安定になりますし、この先どう家族を養えばいいのか自問自答する時間が去年に比べて各段に増えて、自問したところで、うまくいくかいかないかわからない」

妻や3人の子どもは金沢で暮らしているため、いまは離れ離れ。子どもたちの心も少し変わり始めたようです。
坂口竜吉さん
「長男・次男が『金沢がいい』と。『輪島に今は戻らなくてもいい』って、今年に入ってハッキリ言うようになった。環境に適応しているのは嬉しいことではあるし、さみしい部分もあったり。二拠点生活もいろいろ大変なので、できるうちは馬車馬のように働いて」
仕事が終わるころ、家族が姿を見せました。妻のしほさん(42)は毎週末、2時間近く車を走らせ、子どもたちと一緒に会いに来ます。

坂口さんの妻・しほさん
「この距離がもどかしいというか。お父さんと一緒にいたいけど、子どもたちのことを考えると、金沢がいいなと思ってしまう。答えが全然でない」
坂口さんとしほさんは、迷いながらも一歩一歩、進んでいます。
坂口竜吉さん
「家族は各々の道を進んでも、帰ってくる場所があれば帰ってきてくれると思いますし、何としてでも輪島でお店を再開して、家族が笑顔で過ごせる時間が増えてきたらいいなと」