地震から1年半 今一番必要なことは「経済的な復興」

Nスタデスク 柏木理沙 記者:
私は地震が起きてから1週間後に初めて被災地に入り、その後、定期的に取材をさせていただいています。1年半経って今一番必要なことは、「経済的な復興」ではないかと思いました。

地震が起きて1年経つまでは、皆さん「住まいはどうするか」など、本当に目まぐるしく駆け抜けていましたが、1年半経って、少し長期的なことを考え始めたように思います。そのときに経済的に循環していく構造がないと、家族を支えていけない、暮らしていけないということが、今大きな課題だと思いました。

今、色々な場所で災害が起きていますが、能登の現状を知るということは、どのエリアに住んでいる人にとっても重要なことだと思います。

今回は輪島市で取材をさせていただきましたが、珠洲市の方からは「珠洲市にもぜひ来て、現状を伝えてください」というような言葉もいただきました。

井上貴博キャスター:
発災当時、被災地の皆さんは生きていくことに必死でしたが、今は現実と向き合っていらっしゃると思います。

2週間ほど前、珠洲市で書店を営んでいる女性から「ようやく自宅のお風呂が完成した」と連絡が来ました。その一方で、「災害公営住宅の予定地がまだ決まらず、無力感がある」とも話していました。

パナソニック社外取締役 ハロルド・ジョージ・メイ:
経済的な復興の形についてコメントしたいと思います。

日本の場合は、災害が起きるとまず復興に走ります。それは当たり前ですが、その後どうするかということが大事。助成金や補助金で復興支援することもわかりますが、海外の場合はそれに加えて、税制を整えています。新しい投資がその地域にまた行くように、法人税を一時的に下げたり、「このぐらいの金額を投資すれば、こうしますよ」といった税制も行ったりしないと、経済的な復興というのはなかなか難しいのではないかと思います。

出水麻衣キャスター:
政府は防災庁を設置することも考えています。防災庁の役割は、そこに対して「大きな寄与になる」と期待する声は聞かれましたか?

Nスタデスク 柏木 記者:
発災当初は、避難所のことなどで大変な状況だったので、そういったものが改善されるということはとても期待していると思います。

一方で、今回取材をしていて、被災をしている状況が今後も長く続いていくものと感じたので、そういったものに寄り添っていける公的な機関があるといいな、という声も聞かれました。

==========
〈プロフィール〉

柏木理沙
Nスタ デスク
能登半島地震発生時から現場を取材

ハロルド・ジョージ・メイさん
プロ経営者 1963年オランダ生まれ
現パナソニック・アース製薬の社外取締役など