田中ウルヴェ京さん「『耐える』『発想の転換』が重要」

小川彩佳キャスター:
再建しながら地元の魅力も同時に発信していく。この2つを同時進行で行っていかなければならないという難しさがあると思います。

藤森キャスター:
これまで4回取材しておりますが、お話してくださる方は皆さん明るいし、前向きだし、温かくて、毎回「来てよかったな」と思わせてくれるのは変わらない。

けれども、復興に向けて少し進んだ分、目の前に大きな不安がやってきて、それは今までのような見せる観光がなくなってしまったから。では、これから人の流れをどうするのだろうとか。まさに今、耐えるフェーズを迎えていると話していました。

小川キャスター:
地元の皆さんは、今どんな力を一番必要としているのでしょうか。

藤森キャスター:
本当にバラバラで難しいんですけど、ボランティアの数自体は減ってきているけど、観光目的の人は少しずつ増えてきた。

助けに来てくれる人ではなくて、今までの観光地・能登のような、楽しみに来てくれる人の流れを長期的にどうやって作るかというところ。個人個人では皆さん頑張っているんだけど、個人戦ではなく、どう総力戦にして盛り上げていくか。

スポーツ心理学者(博士)田中ウルヴェ京:
「耐える」「発想の転換」この2つが重要です。そもそも復興には物理的な支援もあるけど、心理的な支援もあって。

元に戻すだけではない。希望の再構築とよく表現をします。そのときに重要なのが、心理的な支援。例えば、「頑張ってね」ではなく「このお皿はどういうふうに作るんですか」「この種はどんなところから」など、関心を持つ。そういう繋がりの中で、地元の皆さんは「こういう発想の転換もあるのか」と、少し違う視点が見えてくる。

そういう心理的な安全性をもとにした発想の転換が可能になることもあります。そういったことを一つ一つ、今の時期には続けていくことも大事だなと思います。

藤森キャスター:
民間でいろいろなアイデアが出てきているので、それをどうまとめるか。政治も、参議院選挙を前に、いろいろなアイデアや具体的な取り組み、メッセージなどを発信してほしいなと強く思います。

==========
<プロフィール>
田中ウルヴェ京さん
スポーツ心理学者(博士)
五輪メダリスト 慶應義塾大学特任准教授
こころの学びコミュニティ「iMiA(イミア)」主宰