■冬眠するリスは「地上性」 冬眠しないリスは「樹上性」

続いては、リス科リス亜科リス族リス属のニホンリスとキタリスについて。
ニホンリスもキタリスも、冬眠しません。シマリスが、地上で生活し地中で冬眠する「地上性のリス」である一方、ニホンリスやキタリスは主に木の上で暮らすという意味で「樹上性のリス」です。

ニホンリス@東京・井の頭文化公園で撮影

ニホンリスは本州や四国に分布し、好物はくるみ。日本の固有種なのでほかの国にはいません。この写真は過去の立冬ごろの様子です。2月など真冬には、さらに体の毛はふさふさになる冬毛へ。逆に夏は毛が短くなり、つるっとした印象に変わります。夏毛や冬毛へと換毛することで、四季にうまく適応していっているのですね。

北海道では「エゾリス」と呼ぶキタリス@帯広で撮影

一方、キタリスはニホンリスと生息地が違う種で、北海道に生息しています。冬毛の時に耳に生えている毛がニホンリスよりも長いという特徴があります。もう一つ大きな違いは、ニホンリスは目の周りに白いフチのようなものがありますが、キタリスにはありません。

私は野生のキタリスを探しに北海道へ行くことがあります。札幌から近い所では前田森林公園。帯広方面では音更神社でキタリスに出会いました。阿寒湖畔でも遭遇できます。

北海道では「エゾリス」と呼ぶキタリス@帯広で撮影

森の中でのキタリス探しのコツは、じっと、とにかく待機すること。そして周囲の音がなくなったときに、どこからかガサガサと聞こえたり木が揺れ動けば、その正体がリスである可能性が高いです。リスを見つけた後も重要です。一目散にこちらが向こうへ近づくと、もちろん逃げられてしまいますので、そーっと、足音をたてないように軽やかに近づくのがポイント。リスは、視野が広いという特徴もあるため、意外にもこちらの様子は向こうに見えていると思っていた方がよさそうです。

マニアックな話になりますが、リスの挙動にはフリーズする瞬間があります。すばやく動いた後、ふと一定の方向を見て静止する瞬間です。これがシャッターチャンスです。とはいえ、全体的に動きはとにかく素早いため、どんな瞬間が写っているかはシャッターを押してからのお楽しみ、みたいなところもリス活の醍醐味です。野生のリスに手をさしのべたり餌をあげたりするようなことはもちろんNGです。