「向いてないな…」声優初期の苦悩と支え
歌手活動に見切りをつけ、19歳の終わり頃、アラン・ドロンの吹き替えの声で有名な野沢那智さんが主宰する劇団に入団。「舞台ってそれまで見たこともよくないのに、全身をさらけ出して演技することに、力をつければ正しく評価してもらえるんじゃないかなって」と、新たな道を選んだ理由を語ります。
そして、野沢さんの「どうせなら喋る仕事の方がいい」という勧めで声優の道へ。最初の仕事は実写版『眠れる森の美女』の吹き替えで、いきなり主役のオーロラ姫役。しかし、すぐに眠ってしまう役だったため、「そんなにセリフはなかった」と笑います。
アニメ声優としては、『機動戦士ガンダム』のマチルダ・アジャン役が本格的なスタートでしたが、「右も左も分からなくて、やり方も分からないし、どうやって合わせていいかも分からない」。特に口の動きが合わず、「全然できなくて本当に向いてないなと思って」と苦悩の日々を告白します。
しかし、白石冬美さんや井上瑤さんといった先輩声優との出会いが大きな支えになったと言います。「仕事終わってからみんなでご飯食べたり、お茶飲んだり、そういう時間がちょっと楽しくて嬉しくて。最初の頃は我慢しながら仕事はきついなと思いながらも、その人たちに会いに行ってた」と語りました。
「台本に名前がない…」朝ドラ『あんぱん』極秘出演の裏側
現在放送中のNHK連続テレビ小説『あんぱん』への出演も話題です。やなせたかしさんと小松暢さん夫妻をモデルとした物語ということで、戸田さんの出演を期待する声も多く上がっていました。
戸田さんは「もうとっくに撮り終わってるんですが、台本には私の名前は最後まで載ってなかったんです。役名は載ってるんですよ」と衝撃の事実を告白。「スケジュールと香盤表ももらうじゃないですか。あれもね、役名はあるんだけど私の名前は書いてないんですよ。こんなことないもの。名前書いてない台本ずっといつまでも持ってるわけですから」と、徹底した情報管理に驚いた様子。
「オンエア見たら違う人になってるんじゃないかっていう不安も」と冗談めかしつつも、「こんな経験は初めてでしたね、本当に」と、特別な作品への参加だったことを明かしました。
脚本家の中園ミホさんとは、出演が決まる前に、やなせ先生や暢さんのことについて取材を受けたのが最初だったとのこと。「先生とはとても親しくさせていただいてたから」と、やなせ先生との交流を振り返り、「天国で先生は喜んでると思います」と語りました。
映画最新作『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』
そして、6月27日公開の映画『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』についても言及。今回は、蒼井優さんが声を担当するチャポンという男の子が「アンパンマンに”お兄ちゃん”と慕ってくれる」物語。
「かっこいいって、人をこう倒すことだけがかっこいいんじゃないっていうことを最終的には学ぶ話になってると思います」と、作品に込められた深いメッセージを語りました。
今回の映画にはパンサーの3人も出演。向井慧さんと尾形貴弘さんはロボ2号という敵役、そして菅良太郎さんはニンジンさんの役で登場します。戸田さんは菅さんの声について「プロの声優ではありえない声の出し方というか。いい意味での違和感。新鮮すぎて誰?っていう」と絶賛。「やろうったってできない。本当に難しい」と、その独特の魅力を語りました。