「SNS運用に報酬は支払われたのか?」公選法違反 捜査の行方は
買収にあたるのかどうか、2つ目のポイントは「メルチュの行為に対して報酬が支払われたのか」にある。

斎藤元彦知事の代理人 奧見司 弁護士
「(SNS運用は)PR会社としての活動ではなく、ボランティアの一員としてなされたものです。かつ、社長が主体的・裁量的に行ったものでもありません。社長個人とは何の契約もありませんので、報酬支払の事実もその約束もありません」
SNSの運用は「A氏個人のボランティアだ」と主張するが、前述のA氏のnoteには、ボランティアで行ったという記載はない。

知事側が公開したメルチュの請求書によると、チラシやポスターのデザイン費などとして71万5000円をメルチュに支払ったが、SNSに関する費用は含まれていないという。
つまり知事側の主張は、71万5000円は全てチラシやポスターなどの「機械的な作業」に支払ったもので、SNS運用には報酬がなく、A氏個人のボランティアであるとしているのだ。
しかし、知事とA氏を刑事告発した神戸学院大学の上脇博之教授は、noteの記載などから買収が成立するとみている。

神戸学院大学 上脇博之 教授
「noteを見ると会社として請け負っていることは明らかですよね。あのnote全体見ると私の会社でこれだけのことをやりましたと言ってますから、個人でボランティアはあり得ない話。結果的には報酬を受け取っていますから、これは機械的作業で買収にはなりません、あとはボランティアですよという逃げ道が簡単にできてしまうと、みんな真似しちゃいますよね。ですからこれはやっぱり買収・被買収が成立すると考えるべきだと思う」
今後の捜査の行方は?公職選挙法に詳しい、一橋大学の只野雅人教授に聞いた。

一橋大学(憲法学)只野雅人 教授
「従来の解釈からすれば『選挙運動』ということになると思う。問題はそこに対価が支払われているかどうか。普通に考えると(SNS運用を)ボランティアでやっていると考えにくいところはあるが、実際どういう形でお金が払われているか、その証拠がどういう形で残っているかにも関わってくるので、起訴までもっていくのはなかなか簡単ではない」
選挙カーの運転手やウグイス嬢への報酬は、公職選挙法で上限額などが明確に定められている。
一方で、ネット上の選挙運動費用については、その解釈をめぐって問題になるケースも出ている。2024年の都知事選では、街頭演説を配信した業者に支払われた「機材キャンセル料」が公選法違反にあたるとして刑事告発されている。

Q.7月に参議院選挙だが、起訴・不起訴の判断は影響がある?
一橋大学(憲法学)只野雅人 教授
「起訴されれば相当インパクトがあると思うが、やはり刑事事件になりかけているという点。違法性が強く指摘されていること自体は、一種の警告として意味があったのでは。
少し長い目で見たとき、SNSの運用抜きに選挙運動が成り立たないとすれば、そのことに対する支出をきちんと位置付けるべきではないかなど、当面は手当てをしながら、中長期的に選挙運動の在り方がどうあるべきか、少し大きな視点で考えていくべきだと思います」














