ブレた石破総理 「正論」唱え国民の納得と共感得られるか

「減税」と「給付」には一長一短あり、有権者の中には、将来世代に負担を残さないよう「減税も給付もしない」という選択肢を求める声もある。石破総理も当初はその考えだった。

しかし野党各党が「消費税の減税や廃止」を訴える中、自民党内からの「何もしないのでは参院選で戦えない」との圧力などを受け、石破総理は現金給付を公約に入れることを決めた。減税ではなく給付を選んだのは、“減税には時間がかかり、高所得者を優遇することになる上、消費税は社会保障を支える大切な財源であり、安定財源なしに減税するのは無責任だ”という考えに基づいたものだ。そして、給付であれば低所得者や子どもにより手厚い支援ができると判断した。

これも石破総理なりの「正論」だろう。だが、世論の評判が良いとは言えない。給付を打ち出すと決めた後に行われた東京都議会議員選挙では大敗し、自民党は過去最低の議席となった。さらに党内からは「給付の評判が悪い。これなら責任政党として給付も減税もしない方がまだ良かった」との声が上がる始末である。

これは国会開会中から見られた石破総理のブレが招いた結果とも言える。石破総理はかねてより「国民の耳に痛いことを避けてはならない」と訴えてきたが、「正論」を唱え国民の納得と共感を得ることが出来るのか、いま正念場を迎えている。

TBSテレビ 報道局政治部 官邸キャップ
中島哲平