性的指向を攻撃されリコール運動まで…「私が声をあげなければ」

Q.あなた自身も性的少数者だということを公表しています。差別を受けたことはありますか?

黄捷 委員
4年前、高雄市議会議員だった時にリコール運動を起こされた理由の一つは、私の性的指向と同性婚への支持でした。保守派は私のアイデンティティーと同性婚を支持する立場を理由に私を罷免しようとしたのです。

その時は本当に心が重かったです。というのもリコール運動に対抗する中で、私は自分の行動の正当性を守らなければなりませんでした。保守派は私を公然と侮辱するような手段で激しく攻撃しました。彼らは宣伝車を借り上げ、私の性的指向を大々的に掲載したビラを作り、街中で「あいつは同性愛者だ」と宣伝しまくりました。さらに「病気のゲイ」「気持ち悪い」といった、明らかに性的差別にあたる中傷を撒き散らしたのです。

Q.あなたはどう戦ったのですか?

黄捷委員
私のジェンダーを理由にした人身攻撃には、正面から応える必要がありました。だからこそ、私は繰り返し自身の立場を表明し続けたのです。むしろ保守派の攻撃を社会と共有することで、「同性愛者がいかに差別に直面しているか」を可視化しようとしました。

もし私のような立場の人間が声をあげることをためらったら、私の背後にいる無数のLGBTQ+コミュニティーの仲間たちはどうなるのか?この思いが原動力でした。実際、毅然とした態度が多くの性的マイノリティーの方々に勇気を与えることになったと実感しています。これはまさに、私が政治の道を選んだことの核心的な価値だと考えています。

はっきり言わせていただきます。もし私のような立場の者でさえも自分の権利を主張せず、沈黙を選んでしまったら、どれだけ多くのLGBTQ+の仲間たちの声を押し殺すことになるでしょうか。私はあえて正面から戦う道を選びました。なぜなら性的マイノリティーの代弁者として、声なき声を社会に届ける必要があるからです。

台湾社会を変えた「ジェンダー平等教育」

Q.台湾では小学校から高校まで、ジェンダー平等教育が義務付けられています。 20年以上行われているジェンダー平等教育は、社会を変えるひとつの要素になっているのでしょうか?

黄捷委員
私は、状況はどんどん良くなっていると思います。というのも私たち世代の若者の間ではLGBTフレンドリーな意識がかなり高まってきているからです。

もちろん過去には学校でジェンダー平等教育がなかったこともあり、私たちの親世代は比較的ジェンダーに関する冗談を言いやすい傾向がありました。女性の服装や見た目について安易に指摘したり、評価したりするようなことです。

私は公人ですが、いまだに多くの人々が女性政治家の外見に注目したり、性的な侮辱を含むような発言をしたりします。しかし私と同世代、あるいはもっと若い世代は、そういう差別的な発言をしてはいけないという意識をしっかり持っており、私の仕事の成果や実力により注目してくれるようになっています。

このような点からも、私は良い方向に進んでいると感じています。ネット上でジェンダー差別的な発言があると、多くのネットユーザーが立ち上がり、強い正義感を持ってそれを止めようとします。「あなたの発言は非常に不適切だ」としっかり指摘する人が増えています。

欧米でも数年前に「Me Too」運動がありましたが、おととしには台湾にもその影響が広がりました。性的嫌がらせや性的暴力事件が起きれば人々は声を上げ、非難するようになってきています。