世代や年齢を超えた人気

TBS総合嗜好調査で示された長嶋さんの好感度推移。その変動の要因を探るために、「コーホート分析」を行ってみました。

コーホート(cohort、コウホート、コホートとも言います)とは、「共通の特徴を持った集団」のことですが、ここでは同じ時期に生まれた「世代」を指しています。コーホート分析は、長期間に及ぶデータ(長期時系列データ)の変動を「年齢」「時代」「コーホート」の3つの効果に分解して、どの効果がどれくらい、どのようにデータの変動に影響したかを示します(注2)。

今回は男女別に分析を行いましたが、それぞれの結果を3つの効果ごとにまとめたのが次の折れ線グラフです。いずれも、グラフの上に行くほど好感度を高める(下に行くほど低める)ように作用していることを表しています。

例えば、男女とも長嶋さんの人気は、10代のうちは低いものの、20代以降は横ばいで差があまり見られない年齢効果の傾向とか、90年生まれ前後ぐらいから後の世代で人気が低いものの、上の世代には安定した人気があるというコーホート効果など、それぞれに興味深い動きが見られます(注3)。

これらを総じて、長嶋さんは一定の年齢や一定の世代以上に幅広く好まれ、親しまれた人物だといえるかも知れません。

しかし、3つのグラフを全体として眺めると、年齢効果やコーホート効果に比べて、時代効果のグラフで上下の振れ幅が大きいことが分かります。これは、3つの効果のうち時代効果が特に大きいことを表しています(注4)。

最初に見た折れ線グラフと同様、時代効果のグラフも、80年代半ばまでの好感度が、80年代後半から2011年に漸減し、12年に大きく低下します。