「この人に聞く」です。政府は今月、「地方創生2.0」の基本構想を閣議決定しました。今後10年間の国の方向性を示す構想の取りまとめにあたったのは、鹿児島出身の男性でした。
(石破総理)「官民連携を強化していくことを前面に打ち出し、『令和の日本列島改造』を進めていきます」
今月、閣議決定された石破総理の看板政策「地方創生2.0」の基本構想。自分が住んでいない地域とボランティアやふるさと納税などで継続的に関わる人の数、いわゆる「関係人口」を増やす「ふるさと登録制度」の創設など、今後10年間の方針が示されました。
(新しい地方経済・生活環境創生本部 海老原諭事務局長)「8か月、10か月くらい駆け抜けてきたのでやっと終ったという気持ちはあるが、ここから実施に移っていくので今からが大事」
内閣を補佐・支援する内閣官房に去年10月に設置された「新しい地方経済・生活環境創生本部」。その事務局長として基本構想の取りまとめにあたったのが鹿児島出身の海老原諭さん(58)です。
父親が教員で、子どものころは引っ越しが多く、小学生時代の4年間を甑島で過ごしました。
(新しい地方経済・生活環境創生本部 海老原諭事務局長)
「甑島では魚釣りばかりしていた。小学校にプールがなかったので漁船で沖に連れていかれて陸まで1キロくらい泳いで戻るのを毎日学校行事でやっていた。それは面白かったし印象に残っている」
「離島、半島は特有の悩み、課題がある。そういうことは忘れないように、自分の仕事の中で何かできるか考えないといけないとは思う」
その後、鶴丸高校、東京大学を卒業して1990年に自治省=現在の総務省に入省。愛知、青森など4県に出向し、2021年から2年間、大阪府副知事を務めるなど地方行政の経験も積みました。
高校卒業で鹿児島を離れてから長いものの・・・
(新しい地方経済・生活環境創生本部 海老原諭事務局長)「鳥刺しとキビナゴ。東京だと売っていないので、鳥刺しは鹿児島に出張する人がいたら、冷凍のやつを買ってきてもらってみんなで食べる」
そんな海老原さんが任されたのが、「地方創生2.0」です。
国は2014年に「まち・ひと・しごと創生法」を施行して地方創生に取り組んできましたが、人口はこの10年間でおよそ340万人減って1億2380万人にまで減少。今後も減少が予想される中で、政策の転換が求められたのです。
(新しい地方経済・生活環境創生本部 海老原諭事務局長)
「2.0では人口減少に歯止めをかけることはもちろん大事だが、人口が減るのは事実なので、減る中でどう地域が輝き続けられるかを考えよう。人口減少を正面から受け止めて国の施策を考えていきましょうというのが新しさ」
「100人で1億円の売上をあげていたのが、80人で1億円の売上を維持できれば、それは賃金に反映される。人口減少をどう、不都合を減らすか、有利な状況にもっていくチャレンジをする価値はある」
次は基本構想を実現させるための総合戦略を年内にまとめようと動く海老原さん。ふるさと・鹿児島にエールをおくります。
(新しい地方経済・生活環境創生本部 海老原諭事務局長)
「(鹿児島は)自然もあるし、離島もいろんな景観があって、独自の生態系があって。全国を流々転々としてきた身からすると非常に恵まれた地域と思うので、それをいかしてやっていけば色んなことができるかと思う、期待をしている」