■「憶測」が「現実」になった夜                          

4月6日夜、東京・赤坂の日本料理店から出てきたのは菅総理の朋友、自民党の佐藤勉前総務会長。ゆっくりと言葉を選びながら記者団にこう語った。

自民党・佐藤勉前総務会長
「皆さん方が憶測を巡らせている、菅前総理の勉強会の段取りを話し合わせて頂いた」


これまで長く永田町で噂されていた「菅前総理の勉強会」の立ち上げが公の場で発表された瞬間だった。この日の酒席の相手は二階派の幹部、武田良太前総務大臣。佐藤氏は武田氏に菅前総理を中心とした勉強会のまとめ役となることを依頼し、快諾されたことを明かした。「きょうがスタートだ」。佐藤氏の表情には、充実感がにじんでいた。

質問を終えた記者団は、佐藤氏を乗せたタクシーを見送る。その時、事情を知らない1人のカメラマンがつぶやいた。

「勉強会がなんでこんなに注目されているんですか?」

■「非主流派」の結集

その理由は、勉強会のメンバーの顔ぶれにある。佐藤氏によれば、勉強会には武田氏が所属する二階派に加え、森山派、石破グループなどのメンバーが参加する見通しだという。その多くが岸田政権の下で要職から外れ、いわゆる「非主流派」となっているメンバーなのだ。

菅氏を中心に結集し、岸田政権の次を狙うのではないかー。

そんな憶測が政界に広がっている。ただ、菅氏自身の勉強会に対する考え方は、少し違っている。

■政策実現のための勉強会

菅氏は総理退陣後、周囲に勉強会開催への意欲を示してきたが、その主眼は、ポスト岸田を睨んだ政局にはない。

自民党・菅前総理
「縦割りの弊害は沢山ある。そういったものを1つ1つ洗い出して変えていきたい」


勉強会開催の目的は、菅氏が一貫して主張する行政の「縦割り打破」によって政策を実現させることだ。菅氏は観光立国を目指すインバウンド政策や発電用・農業用ダムの水害対策への活用など「縦割り打破」の成果を上げてきた。

総理時代も矢継ぎ早に政策を実行に移し、携帯電話料金の値下げや不妊治療の保険適用などを実現させてきた。菅氏は勉強会の開催によって、温室効果ガスの排出実質ゼロを目指すカーボンニュートラルなど、道半ばの政策を前に進めていきたいと考えているのだ。

■菅氏を中心とした大きな塊への期待

だが、菅氏の意思がどうであれ、菅氏への政治的な力への期待は大きい。

二階派幹部
「これからは菅さんに注目だ。もう1度、総理の座に返り咲くことは考えていないだろうが、菅グループを強化する方向に動くだろう」


菅氏を支持する無派閥議員のグループのメンバーも期待を隠さない。

無党派議員のグループメンバー
「みんな『いつかは菅さんを中心に大きな塊になりたい』って思いはずっとある」


そして、この「大きな塊」を作るにあたって、キーマンのひとりとなりつつあるのが、冒頭の佐藤勉前総務会長なのだ。