■菅氏と他派閥をつなぐパイプ役
今年2月、佐藤氏は、麻生太郎副総裁との関係悪化などを理由に、所属していた「主流派」の麻生派を飛び出した。菅氏と佐藤氏、この2人の関係は深い。当選同期で「スガちゃん」「ベンちゃん」と呼び合うほどの仲で、菅政権時代は党の総務会長として菅氏を全面的に支えてきた。佐藤氏は麻生派を退会する際に「今後については白紙」と語っていたが、菅氏と他派閥を繋ぐパイプ役として早々に動き出すことになる。
■佐藤氏の辣腕ぶり
佐藤氏は、「非主流派」の二階派(所属議員43人)の林会長代行、森山派(7人)の森山会長と会談を重ねて連携を確認。また、菅氏を支持する参議院の無派閥議員グループ(約10人)の勉強会に講師として参加し、「その時になったらよろしく頼む」と協力を仰いだ。さらに石破グループ(約10人)のメンバーにも声をかけていて、あっという間に規模は膨らんだ。近く、菅氏を支持する衆議院の無派閥議員グループ(約15人)とも会談を行う予定で、仮に各派閥・グループのメンバー全員が集まることになれば、党内最大派閥の安倍派(94人)に迫る規模になる。
■「主流派」安倍派との連携も視野「総理候補」河野太郎氏も参加意思
さらに関係者によると佐藤氏は、「主流派」である安倍派との連携も視野に入れているという。関係者
「安倍さんが岸田さんとずっと一緒にやっていくことにはならないだろう。我々が安倍さんと協調するなら、安倍さんが推す人を担ぎ上げればいい」
また、8日には、ワクチン担当の大臣として菅政権を支えた河野太郎氏も、菅氏の勉強会に「声がかかったら参加する」意向を示した。菅氏は昨年の自民党総裁選で河野氏を支持しており、今も河野氏を「総理筆頭候補」と公言している。もし、河野氏の参加が実現したら、更なる憶測を呼ぶことになりそうだ。
■ケンカできる「サムライ集団」
菅氏を中心とした勉強会が実現に近づく中、関係者の鼻息は荒い。関係者
「今回は、ケンカできる連中の集まり、サムライ集団だから。勉強会がスタートしたら戦闘モードまっしぐらだ」
菅氏は7日、TBSのCS番組に出演し、「ウクライナ情勢のなかで急ぐことはない」と述べ、慎重に勉強会立ち上げのタイミングを図る考えを示した。
また、勉強会は「政策を進めるためには絶対に必要だ」と強調したものの、他派閥との連携については「こだわらない」と語った。あくまでも「政策本位」で勉強会を開催する考えは変わっていないようだ。しかし、関係者は次のように話す。
関係者
「いざとなったら菅さんを扇の要にして協力し合うこともあるだろう」
岸田政権の支持率は今のところ堅調だが、長引くコロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻による物価高などの難局は続き、夏には参議院選挙が控える。岸田政権が窮地に追い込まれた「その時」、菅氏の本音が分かるのかもしれない。
TBSテレビ報道局政治部 与党担当