店のママの本業は現役の芸妓さん

こちらはコロナの感染拡大と同じ時期の2020年にオープンした「和洋酒房 かんてら」。おしゃれな店内の雰囲気は、これまで見た中で最も「本場の銀座」に近い気もしますが…

(和洋酒房 かんてら 丹羽恭子ママ)
「帰ってきたら玄関の前に何かが座っとるって言って。イヌかと思ったらサルやった」

この店を切り盛りするママの丹羽恭子さん。お店の経営者の他に、もう一つの意外な顔が。

(和洋酒房 かんてら 丹羽恭子ママ)
「一応、桑名で芸妓としても、お座敷に出させていただいています」

実は恭子ママ、本業は現役の芸妓さん。月の半分は料亭などで踊りや三味線を披露しています。江戸時代から物流の拠点として商人たちで賑わい、芸妓文化が根付いた桑名。現在、7人の舞妓と芸妓が活動しています。しかし…

(和洋酒房 かんてら 丹羽恭子ママ)
「コロナで(芸妓の)仕事がなくなってしまったので。何かをしなきゃいけないというのもあって、この店を始めたというのもある。料亭が閉まっているから当然、私たちの仕事もない」

新型コロナの感染拡大で収入は激減。苦境を何とか抜け出そうと自分の店を持ったものの、当時は飲食店への規制なども厳しく貯金を切り崩しながら生活してきました。

(和洋酒房 かんてら 丹羽恭子ママ)
「思い入れがあると思うんですよ。こういうふうにして(店を)つくったっていうのを、そこを忘れることなく今のように続けていけたらいい」

このお店は、厳しいコロナ禍の困難を乗り越えた証しともいえるのです。そんな恭子ママにとって桑名の「銀座」とは。

(和洋酒房 かんてら 丹羽恭子ママ)
「この通りは小さいけど結構面白い。自分の人生の勉強になるのかな。(コロナ禍を)乗り越えて、お客さまに支えていただいたから。頑張れるだけは、お客さまに返したい。体が動けるうちは、やりたいな」

各地に存在する「銀座」。そこには東京の本家「銀座」にはない、それぞれの「銀座」の物語がありました。