60年前の1965年6月22日、国交を正常化した日本と韓国。
しかしこの間、両国は、歴史問題をめぐり関係悪化をくりかえしてきた。
日本製品の不買運動や韓国に対する輸出規制の強化など、経済活動や民間交流にまで影響が及んだこともある。
歴史問題には双方の譲れない立場があり、解決は簡単なことではない。
だが、たとえ完全な解決が難しくても、友好な関係を維持することはできないものか。
物心ついた時から海の向こうの「日本」を感じてきた韓国・東西大学の総長・張済国さん(60)が提言するのは2つの方法だ。
「最低限このふたつだけは」と話す”切り札”のひとつは、「空港」にある。
韓国では「歴史問題はまだクリアにされていないと思う人がほとんど」
福岡空港から飛行機で35分、韓国・釜山市の金海空港に到着した。
車で約30分走り急な坂を上ると、東西大学に到着した。
「こんにちは、お元気でしたか」
流ちょうな日本語で迎えてくれたのは総長の張済国(チャン・ジェクック)さんだ。
日韓関係の専門家として知られる張済国さんは、これまでに様々なプラットフォームを立ち上げ、両国の経済人やジャーナリスト、研究者や政治家をつないできた。
「歴史問題はまだクリアにされていない、と思う人がほとんど」の韓国で、一貫して「未来に向けたビジョン」を提唱し続けることは時に困難を伴ったはずだ。

東西大学・総長 張済国さん
「一番最悪だったのは、文在寅政権の5年間(2017年5月~2022年5月)ですよね。韓日関係をやる人は出番がなかった。不買運動や反日の雰囲気でしたから、セミナーもあまりなかったし、『日本との関係を良くしましょう』という提言もしにくい雰囲気だった。一番苦しかったですね、その時は。ユニクロの店にも入れない時でしたからね」