■政治家は清廉潔白である必要はどのくらい?「私はある時パーンって飛んじゃった」


ーー「仕事はきちんとやってますから、公私は別です」と言われると割り切れないと感じる人も多いと思います。政治家に公私ともに「清廉潔白」であることを求める人も多いと思いますが、これについてはどうですか?

ここ数年、サポートしてくれている人たちから「誤解を受けるような行動をしないで欲しい」とか、「もっと脇を締めてほしい」とかすごく言われて。でも、これはどれぐらいの人が「そうだね」と同感してくれるか分からないですが、私はもうある時パーンって飛んじゃったんです。誤解をされることで、自分の行動を萎縮させたら、自分の人生、生きていけないって。

必要以上に脇を締めて生きていたら、人間として豊かな人生は送れないと思います。少なくとも私は。そういう人間の「豊かさ」って、政治家で求められる像に自分を合わせていけばいくほど、削り取られていく人がすごく多いと思っています。それがいいこととは、私は思えません。

これまでの日本の政治文化って「政治家は自分たちとは違うフェーズにいる代表者」とみられてきました。でも、そのことがどれだけ議員になろうとする人のハードルになっているでしょうか。スキルは持っていても、普通に自分の人生を生きたいと感じている人は政治家になることを躊躇します。その一つの象徴が、70年以上、女性の政治家が増えてないっていうことだと、私は政治の世界にいて感じてきました。日本の政治文化で変えた方がいいことっていっぱいあると思っています。

ーー議員を辞める決断は議員時代に取り上げられた週刊誌の報道も影響していますか?

決断には影響してないですね。決断に影響したというよりも、やっぱりこれだけ、自分の人生を人目にさらし、失うものも多い政治家をやり続けるのか。何のために政治家をやろうとしてるのか。政治家じゃないとできないのか。そんな本質的な問いを自分に投げかけるきっかけになったということはあると思います。でも、自分自身で新たな道を作っていくという方向にシフトしたので、週刊誌であれ、なんであれ、政治家を辞めるという選択には影響はなかったですね。

▼菅野志桜里
宮城県仙台市生まれ。東京大学法学部卒。元検察官。2009年の総選挙で初当選し、3期10年衆議院議員を務める。待機児童問題や皇位継承問題、検察庁定年延長問題などに取り組む。2021年の衆院選に不出馬を表明。現在は弁護士、The Tokyo Post編集長、一般社団法人国際人道プラットフォーム代表理事。
(2021年6月25日放送・配信『政治をSHARE』より)