「ゆとりのある老後」には月37.9万円が必要!?

 一方、「月の赤字額」ではなく、「ゆとりのある老後生活を送るために必要な金額」をもとにした試算もあります。(公財)生命保険文化センターの「2022年度 生活保障に関する調査」によると、「ゆとりのある老後生活」に必要な費用は「月額37.9万円」。65歳~90歳の25年を想定すると、合計で「1億1370万円」という数字が出ています。

 ニッセイ基礎研究所・主席研究員の井出真吾氏によると、65歳~90歳で、退職金1900万円・公的年金7176万円の人を考えた場合、「ゆとりのある老後生活」を送るための不足額は、2294万円にのぼるということです。

 さらに井出氏によると、日銀の物価目標(前年比2%上昇)と同じく、不足額も2%ずつ増加すると仮定した場合、不足額も増えていき…

   現在:2294万円
 10年後:2796万円
 20年後:3409万円
 30年後:4155万円
 40年後:5065万円

 現在20歳の人が60歳になるころには、5000万円以上が不足してくる計算です。

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 これに対して井出氏は、「『何万円が必要だ』と決めつけて突っ走るのは良くない」と指摘したうえで、「5年に1度は自分の年金額と世の中の物価を確認した方がいい」とアドバイス。「平均的な数字より、自分がどんな生活をしたいのか、それにはいくらかかるのかを考えて計算することが大事」だと述べます。