6月13日に参議院で可決・成立した、改正・年金制度改革関連法。少子高齢化が進むなか、年金制度を維持していくために様々な措置が盛り込まれました。ただ、年金だけで老後の生活が安泰かといえば、そうとも言えません。「老後2000万円問題」も記憶に新しいところです。

 物価が上がり続ける昨今、どれだけ貯蓄が必要なのか。老後の「年金」や「お金」について、専門家の意見を交えてお伝えします。

還暦迎える人の30%が「貯蓄100万円未満」

 PGF生命が今年5月に公開した調査結果によると、2025年に還暦を迎える男女2000人のうち「貯蓄額が100万円未満」と答えた人の割合(配偶者がいる場合は夫婦2人の合計)は30%で、2018年の調査開始以降、最多だということです。

 還暦の人の貯蓄額を具体的に見ると、「500万円未満」が50.0%、「2000万円以上」が26.5%。ボリュームゾーンを示す中央値は「475万円」となっています。また、「友人・知人との交友関係にお金を使っている」人は59.3%=約4割は使っておらず、また「趣味のためにお金を使っている」人は68.5%=約3割は使っていないというデータも出ています。

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 内閣府の「令和6年度 高齢社会対策総合調査」によると、60歳以上の男女2188人のうち「経済的に不安」がある人は92.6%。具体的には「物価の上昇」(74.5%)や、「収入・貯蓄が少ない」(47.1%)、「転居・老人ホームの入居費用」(43.1%)などに不安を感じている人が多いようです。