「役割を終えた」ため池の処理と管理の難しさ

一方、時代の流れとともに役割を終えたため池もあります。

RCCウェザーセンター 末川徹 気象予報士
「和田平池は、周りが護岸ではなく、完全に土で固められています。所どころ浸食が進んでいて、水はいま利用されていないとのことです」

広島県内には、こうした使われなくなったため池が、1300カ所以上もあります。県は、市町と連携して、これらを数年かけて廃止する方針です。

実際に廃止されたため池も見せてもらいました。辰ノ口(たつのくち)地区のため池は、2021年の梅雨前に堤体の一部が陥没しているのが発見され緊急で排水作業が行われる事態となりました。

浸水想定区域内の対象11世帯に対して、警戒レベル3「高齢者等避難」が発令されました。その後、管理者からため池の水利権を放棄する調整がつき本格的な廃止へ。現在は、堤体をV字状に削ることで水がたまらないような工夫が施されています。

廃止された辰ノ口(たつのくち)池

広島県ため池・農地防災担当 中村博課長
「管理者が亡くなり、相続をしておらず誰が利用しているか分からないため池もある。市町と連携して、事前の安全対策を徹底している」

万が一の事態に備え、市町のハザードマップでため池のリスクを知ってほしいとしています。

広島県ため池・農地防災担当 中村博課長
「決壊した場合、浸水区域や到達時間・緊急の避難場所も分かる。大雨ならすぐ避難してほしい」