東京世界陸上に出場する2人のハードラー。福部真子選手と野本周成選手。2人はともに同じコーチの指導のもと広島を拠点に活動する仲間であり良きライバルです。 
2人は同じコーチの指導のもと、世界を目指す仲間であり、良きライバルでもあります。

福部真子
「野本がすごく張り合ってくるので…なんか私、女だよなと思いながらも、なんかすぐ『俺の勝ち』みたいな感じで言ってきて、でもなんかそれが自分の中でよかったというか」

野本周成
「近くにいてすごい僕も引き上げられるような感じがあります」



今回そろって広島から世界陸上という大舞台への挑戦権を手にした2人。しかし、ここまでの道のりにはそれぞれの困難がありました。

野本選手は、パリオリンピックを目指していた2023年に自己ベストの13秒20でオリンピック参加標準記録を突破。日本代表入りを確実視されていました。しかし、12月に裏ももの肉離れを発症。パリ行きへの黄色信号が灯ったところに「広島に来ないか」と声をかけたのが同い年で同じハードル競技に取り組む福部選手でした。

野本選手は福部選手を世界に導いた尾崎コーチの指導を受けるため、去年1月に広島に拠点を移します。

野本周成
「お互い鹿児島合宿をしているときに福部選手と話したんですけど、そこで話して、1か月後ぐらいにはもうこっちに来てたんで結構すぐ決めました」

去年6月、パリオリンピック出場をかけて挑んだ日本選手権。2位以内に入れば日本代表入りでしたが結果は、無念の5位。ケガの影響が大きく響き、夢には手が届きませんでした。

野本周成
「もう絶望というか、この世の終わりみたいな感じだったんですけど、正直いま覚えてないですね」

尾崎雄祐コーチ
「パリに行くためにわざわざ広島まで拠点を移して一緒に頑張ってきたなかで、どうしても届かなかったところがあったので、責任を感じた」



パリオリンピックを逃し、絶望の淵にいた野本選手。なんとか、前を向き、世界陸上へと進み始めたとき、今度は、福部選手が原因不明の高熱などに悩まされる難病・菊池病と診断されます。

福部選手はコンディション不良による大会欠場が続き、「はじめて成長を感じられない時間だった」と語るなど、スタートラインにすら立てない日々にもがき苦しんでいました。

そんなときに支えとなったのが、隣でハードルに打ち込む野本選手の姿です。

福部真子
「張り合ってくれる相手が近くにいるからなんか競技者というか、そういう負けず嫌いな部分っていうのは失わずにずっとやれてたと思うので、居てくれてよかったというか。(野本が)ガキでよかったなって」

野本周成
「いままで(愛媛時代)は、僕が1人で練習をやっていたので、なんか僕がケガをすると僕だけがなんかこういう災難にあって、僕だけが不幸なんだなっていうふうに思ってたんですけど、みんなそれと向き合いながらやってるんだなっていうのがこっちにきてすごく分かって、僕は勇気をもらえたなって」

お互いの存在を励みに辿り着いた世界陸上。

復活、初挑戦、それぞれの夢舞台は13日土曜、東京・国立競技場でついに開幕です。

野本周成
「決勝でメダルを取るっていう僕の目標があるので、本当に自分と向き合ってそこに向かっていくだけって感じですかね」

福部真子
「少しでも万全な状態でスタートラインに立てれば、このシーズンいちの走りとタイムっていうのは出てくるとは思うので、そこをクリアできるように準備していきたいなとは思います」

●出場予定
福部選手は14日(日)午前11時28分からの予選
野本選手は15日(月)午後8時20分からの予選