“受診控え”の傾向がいまだ残る…病院経営の悪化だけではない問題も
『病院の7割が赤字』について、奈良県立医科大学の今村知明教授は「新型コロナウイルスの影響により、患者の受診行動が変化した」と指摘。コロナ禍を経て、受診控えの傾向がいまだ残っているということです。また、入院期間の短縮や入院率が低下していて、その結果、病院としては“もうけ”が減ります。さらに、症状が悪化してから受診する傾向もあるといい、助かる命も失われているケースがあるようで、病院経営の悪化だけではない問題も見えてきました。
コロナ禍以降、赤字が加速している病院。医療には最低限のコストが必要で、このままだと、フリーアクセス(患者が医療機関を自由に選択できること)や地域の診療所を維持するのは難しいと今村教授は話します。また、病院は地域の巨大産業という面もあり、閉鎖すれば地域社会に大ダメージを与えるということです。例えば、ベッドが500床ある病院には約2000人が働いているといい、その病院がなくなると、働いている人やその家族も含めて約8000人が地域からいなくなる計算にもなり、経済的なマイナスは大きいでしょう。
さらに、病院がなくなると高齢者らがその地域に住めなくなることもあり、地域の空洞化が起きてしまうおそれもあるということです。