病院の統合・再編には難しさも

 苦境の病院が生き残るためにはどうしたらよいのか。今村教授は、地域ごとの役割分担の明確化を提案。例えば、ある地域は急性期医療に特化した病院が1つあれば足りるため、別の病院は慢性期医療に特化するなど、役割分担をしていく、地域で必要な医療は何かを考えることが必要ということです。

 また、病院の統合・再編についても今村教授は見解を述べています。例えば、300床のベッドがある病院が1つの地域に2つあり、いずれも6割(180床)しか稼働しておらず赤字の場合、360床の稼働で黒字になるようこの2つの病院を統合する、ダウンサイズを図るという考えです。
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 ただ、病院の統合・再編には難しさもあり、建て替え費用をどの病院が負担するのかをめぐって、母体(自治体・医療法人など)が違うと揉めることもあるということです。また、市営の病院などが統合・再編となる場合には、市民の反対も大きな壁に。一方で無理に病院を維持すると、市は破綻するという面もあります。

 病院が厳しい状況にある中、私たち患者側ができることは何か。今村教授は、大学病院など有名病院に患者が集中する傾向があるため、地域医療を守るために地域の病院を選んで受診することをすすめています。そして、医療機関にかかることで助かる命も多いため、受診控えせず早めの受診も重要だということです。