「日本の病院の約7割が赤字」。今、全国的に経営が悪化している病院が増え、廃業に追い込まれるケースもあるようです。赤字に陥る影に、どんな“病巣”が隠れているのでしょうか。奈良県立医科大学の今村知明教授の見解を交えて解説します。
去年は106件 病院の倒産・廃業・解散など
日本病院会の相澤孝夫会長が、同会のYouTubeチャンネルの動画で、「日本の病院の約7割が赤字。破綻もうじき来る」と発信しました。同会の調べ(1731施設の回答/2024年)によりますと、医業利益が赤字の病院(病床が20以上の医療機関)は69%に上ります。また、テナント料や駐車場代なども含めた経常利益は61.2%の病院で赤字だということです。
こうした背景には、病院の収入面として診療報酬(公定価格)が長年“ほぼ据え置き”で上がらない一方、支出は給与費・委託費・水道光熱費などが上がっているという状況があるようです。診療報酬を上げるためには莫大な財源が必要で、ちなみに日本の現在の医療費は年間約50兆円ということです。
なお、東京商工リサーチによりますと、病院の倒産・廃業・解散などは、2023年は80件で、2024年は106件と、増加しました。