■激化するロシアの攻撃 背後に“シリアの虐殺者”の存在
日比キャスター:
ロシア軍による民間人への攻撃は激しくなっています。4月8日、ウクライナ東部ドネツク州のクラマトルシク駅において、ミサイル攻撃がありました。
ドネツク州の政府によりますと、この駅には数千人の民間人が避難のために集まっていたということです。この攻撃で、▼57人の方が亡くなり、このうち▼5人は子供だったということです。この数字は10日時点での人数ですので、今後増えていく可能性があります。
イギリスのデイリーメールは「この攻撃の背後には、ウクライナ侵攻の最高司令官に任命されたドボルニコフ氏がいる」と報道しています。
ドボルニコフ氏は、2015年からのシリア内戦において作戦を指揮していて、“シリアの虐殺者”という異名を持ちます。このシリア内戦での功績を認められて、2016年にはプーチン大統領から“ロシアの英雄”という称号も受けています。
このウクライナ侵攻においてのドボルニコフ氏による影響として畔蒜さんは、以下の2点を指摘しています。
▼民間人も兵士も関係なく無差別に攻撃する
▼ロシア軍がひとつになり士気が上がる
そしてさらなる懸念として、海外メディアによりますと、2015年のシリア内戦で無防備な民間人の殺りくや化学兵器による攻撃が行われたという過去もあります。今後のウクライナ侵攻における影響も懸念されています。
ホランキャスター:
プーチン大統領とドボルニコフ氏は、どれくらい深い繋がりがあるのでしょうか。
畔蒜泰助さん:
プーチン大統領にとって、シリアの軍事作戦というのは、ロシアが国際的な威信を上げる大きな転換点になったものですので、プーチン大統領はドボルニコフ氏を軍人としてかなり信頼してるということだと思います。
ホランキャスター:
ドボルニコフ氏が就任したことによってどんな変化がもたらされるのでしょうか。
畔蒜泰助さん:
ロシアの軍事作戦において、「全体を統括する司令官がいないのではないか」という話が以前からありました。今回、改めてドボルニコフ氏が任命されたことで、それが事実だったということが明らかになったのだと思います。
いずれにせよ、5月9日の“対独戦勝記念日”に向けて、特にウクライナ東部・南部の地域での軍事的な成果を上げるべく、相当攻撃が激しくなっていく可能性が十分にあります。
井上キャスター:
こういった状況の中で国際社会ができることとして「欧米が外交努力をもっとすべきではないか」という指摘があります。“交渉のテーブル”といった部分に対して、欧米はもう手出しできないのでしょうか。
畔蒜泰助さん:
11日に、オーストリアのネハンマー首相がプーチン大統領と会談をするなど、依然として停戦交渉のラインは完全には止まっていません。こういった外交努力は継続していくことが大事だと思います。