ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻は今もなお続いています。そんな中、ロシア軍が化学兵器を使用した可能性が指摘されています。市民らが呼吸困難の症状を訴えたという情報もあります。地元メディアは「サリンを使用した可能性がある」とまで指摘しています。エスカレートするロシア軍の攻撃は、いつまで続くのでしょうか?専門家にききました。

■「投稿は完全にフェイク」 情報戦とみられる動きも

日比麻音子キャスター:
激しい攻撃が続いているウクライナ・マリウポリ。AP通信によりますと11日、マリウポリのボイチェンコ市長は「遺体が町中に散乱している。死者は2万人を超えるかもしれない」と話しています。

さらに同日、マリウポリで戦うウクライナの部隊がSNSで“最後の戦い”という言葉を投稿。

「弾薬が補給されず、食料も水もほとんどない状態。きょうがおそらく最後の戦いになるだろう」

ただこの投稿から約7時間後、マリウポリの市長補佐官から「投稿は完全にフェイクです。部隊のアカウントがハッキングされた」といった内容の反論がありました。

■「サリンを使用した可能性」 ロシアが化学兵器使用か

日比キャスター:
一方で、ロシア軍による化学兵器の使用があったのではないかといった動きもあります。

ウクライナ「アゾフ連隊」11日SNSより
▼ロシア軍が“不明の有毒物質”を使用
▼ドローンから投下
▼市民らが呼吸困難などの症状


地元メディアは「サリンを使用した可能性がある」と報じています。

この動きに対して、アメリカ国防総省のカービー報道官は「現時点で確認はできないが、引き続き状況を注視していく」とコメントしています。

ホラン千秋キャスター:
放送中に、親ロシア派から化学兵器の使用を否定するような声明も発表されましたが、真偽についてどのように分析されていますでしょうか。

笹川平和財団主任研究員 畔蒜泰助さん:
現時点では真偽の確認ができません。ただ少なくともアメリカは「ウクライナ東部の戦線で化学兵器が使用される可能性はある」というコメントを以前から出していました。
仮に使用されたとなると、戦いのフェーズが一段変わってきます。おそらく、アメリカをはじめとした西側諸国としても、さらに高度な兵器を許容するフェーズになってくると思うので、ここは非常に大きな転換点になると思います。これが事実であれば。

井上貴博キャスター:
ロシア側としてはおそらく否定を続けるでしょうし、むしろ、使われたとなるのであれば「ウクライナが使用した」という主張を続けるのだと思いますが、ロシアがこの化学兵器を使用したとする証拠は出てくるのでしょうか。

畔蒜泰助さん:
米軍を含めて軍事の専門家、特に化学部隊のようなところが確認をできるのかどうかにかかってくるのだと思います。現時点ではおそらく難しいのかもしれません。