生産者「コメ作りは『すぐに』が難しい」
一方、コメの生産者にも話を聞きました。兵庫県姫路市で農業生産法人を立ち上げコメ作りをする夢前夢工房の衣笠愛之さんは、輸出に関して「輸送費と関税の関係で正直難しいのではないか。世界的に日本食ブームなので、その流れにのればうまくいくかも?」という認識です。
また、大規模集約でのコメ増産については、「コメ作りは『すぐに』が難しい」と話します。初期投資の面では、新規参入には、15ヘクタールの農地だとしてトラクターなど1億円はかかるようです。そして、田植えと稲刈り時には多くの人手を必要としますが、それ以外の期間もその人員がずっと必要というわけではなく、繁忙期に助っ人を頼むようで、雇用の難しさ、労働力の調整の難しさがあるということです。さらに、田んぼに水を引き込むのには、時間がかかるほか、権利の問題なども絡んでいるようです。
このほか、衣笠さんによりますと、水田の水管理はとても大変だということです。田植え時は2~4cmで調節し、1か月後に一旦水を落とします。穂が出始めたら水を多めにし、コメができ始めたら水を少なめに。そして最後、水を落として収穫ということで、毎日のように水の手間がかかるといいます。衣笠さんらはデジタル技術を取り入れて効率化し対応しています。
「すぐに」が難しそうなコメ作り。不況などのリスクに対して国はどうすべきなのでしょうか。山下氏は「コメを作る大規模農家に直接補償をすることで、無駄な税金をかけずに農家を支えることができる」と指摘します。
今後、政府はどのようなコメ政策を打ち出していくのか注目されます。