“三方よし”なぜ進まない?
この“三方よし”の大規模化が進まない理由として、山下氏は「小規模農家を残しておきたいJAや農林族議員の思惑がある」と指摘。例えばJAは、農家もしながら会社勤めなどをする兼業農家が給料をJAバンクに預けるなどし、JAの預金量108兆円を支えてくれている面があると、山下氏はみています。また、農林族議員としては、選挙で支援してくれる“農業票”がほしいということです。特に地方の選挙では、拮抗したときに農業票は最後の決め手になることから、しっかり兼業農家を守ることで、その票を確保したいようです。
では、もし大規模化を進めた結果、コメを作りすぎた場合にはどうすればよいのでしょうか。これについて山下氏は「輸出すればよい」という見解です。国内でコメ不足に陥るなど困ることがあれば、輸出分としてキープしていたものを国内に向けて融通するという考えです。日本のコメはいわば“高級車”で世界的にニーズはあると山下氏はみていて、減反廃止で輸出量が増えれば、国際価格が下がって、他国のコメとの競争力も増すとしています。