宮城県気仙沼市の浪板地区に伝わる伝統芸能の「浪板虎舞(なみいたとらまい)」が6月中旬、大阪・関西万博に出演します。

メンバーの1人最年長の80歳の男性は55年前の大阪万博にも出演していて、2度目となる晴れ舞台を心待ちにしています。
テンポの良い打囃子と掛け声が響く中虎が勇壮に舞います。
気仙沼市の浪板地区に伝わる「浪板虎舞(なみいたとらまい)」です。

「虎バカシ」と呼ばれる先導役と頭や胴体を操る3人の演者が梯子に上って演じる勇壮な舞いが特徴の「浪板虎舞」。
漁の安全大漁祈願する伝統芸能として2017年には宮城県の無形民俗文化財に指定されました。
この浪板虎舞が6月中旬、大阪・関西万博に伝統芸能の県代表として出演することになり小学生から80代までの保存会のメンバーは連日、稽古に汗を流しています。
その様子を鋭いまなざしで見守るのは保存会の顧問で最年長の小野寺優一さん(80)です。

実は、この浪板虎舞、1970年の大阪万博でも舞いを披露していました。

その際、先導役の「虎バカシ」を務めたのが小野寺さんでした。
浪板虎舞保存会顧問 小野寺優一さん(80)
「多くの人たちから拍手喝采をいただき外国人から『オーワンダフル!タイガーダンス!』と言われたことが印象的で嬉しかった」

震災の津波で住民30人が亡くなった浪板地区。
虎舞は存続の危機に立たされました。
しかし、虎の頭などの道具は被害を免れ住民が一体となって伝統芸能を守り続けてきました。
そして55年ぶりとなる万博での演舞。

再び、晴れ舞台に立ち勇壮な舞いを披露します。
最年少メンバー 高田将臣さん(10)
「大阪万博で楽しく、カッコ良く僕たちは辛いだけではなく楽しくやっているよ」というところを遠くの人たちに知ってもらうために毎日、練習を頑張っている」

大阪・関西万博で虎バカシ担当小野寺厚也さん
「小野寺優一顧問がやった『虎バカシ』を受け継いで自分がやるが55年前に負けないように迫力ある演舞を届けたい」

この日は、重さ4キロの虎の頭を操りながら梯子を登る本番さながらの練習にも取り組みました。
浪板虎舞保存会顧問 小野寺優一さん
「14年前の東日本大震災の多くの犠牲者に対する畏敬の念とお世話になった世界中の支援して貰った方々に御礼を込めた虎舞を披露して喜んで貰いたい。とにかくやるしかない!元気よく日本、宮城県気仙沼市浪板地域にこのような芸能があるという事をみんなに見せたい」

復興支援への感謝の思いも込めた浪板虎舞の演舞は6月14日と15日に大阪・関西万博の会場で披露されます。
小野寺さんは2度目となる万博への出演について「嬉しさと喜びが湧いてきた来場者に喜んでもらえる舞いを披露したい」と話していました。

当日は演舞の前に来場者に挨拶をする予定とのことです。
保存会のメンバーは32人いて本番まで稽古を続けるということです。