両陛下の強い意向で実現したご一家での沖縄訪問

井上貴博キャスター:
両陛下と愛子さま、3人での沖縄ご訪問は今回が初めてということなんですね。

TBS報道局解説委員 牧嶋博子さん:
今回のご訪問は戦後80年の慰霊が大きな目的で、愛子さまは初めて訪問されましたが、陛下は皇太子時代を含めて今回で7回目、そして雅子様も3回目となります。

今回、愛子さまが同行されましたが、これは2月の陛下の誕生日の記者会見で、「愛子にも戦争によって苦難の道を歩まれた方々に心を寄せてもらいたい」と述べました。この気持ちがある中で、「愛子さまにもぜひ同行してほしい」という両陛下の強い意向があって実現したものです。

愛子さまにとっては初めての沖縄訪問ですが、4日には沖縄の平和祈念資料館を視察されました。

ここでは、沖縄戦で住民が避難した薄暗いガマを模した展示があるところで、声を出してアメリカ兵に見つからないように、住民が住民を殺めたという記録を愛子さまが読まれたり、自分の目の前で家族を失った遺族と懇談されました。

戦争体験者からのこうした壮絶な話や記録に、愛子さまは「平和の大切さを感じました」と、しみじみとお話になっていました。

それから、「豆記者」とも交流されました。豆記者というのは、本土で記者体験をする小中学生たちで、2016年に面会した子たちが成長して、今回も交流しました。

豆記者との交流は上皇ご夫妻が始めたもので、アメリカ統治下の1963年から始まっていて、皇室が沖縄の文化や様々なものを理解する場となってきました。

この交流が両陛下にも引き継がれて、愛子さまも2歳で初めて参加し、豆記者からもらった本を陛下が愛子さまに「これ読んだらいいよ」とすすめたりするなど、こういう形で皇室は沖縄に心を寄せてきました。

井上キャスター:
星さんはどんなことを感じますか?

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
2025年は戦後80年で、戦争体験や戦争に対する思いを親から子どもに伝えるというのが課題だと思いますが、皇室は上皇から天皇、それから愛子さまと戦争についての思いを語り継がれています。ある意味では、日本人の模範を実行されているというふうに思いますね。

TBS報道局解説委員 牧嶋博子さん:
皇室の方が沖縄を訪問するということで、私たちが報じます。そうすることで、悲惨な体験が若い人たちにどんどん語り継がれていき、そしてまたさらに、こういうことが絶対起きてはならないという思いに繋がっていくと思います。

ですから、皇室の方がこのように訪問されるのは、とても重要なことなのだと感じます。

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〈プロフィール〉
牧嶋博子
TBS報道局解説委員
2015年から宮内庁担当記者として両陛下をはじめとする皇室を取材

星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年