アメリカのトランプ大統領が「米国がコントロールし続ける」と強調する日本製鉄のUSスチール買収計画に進展が。日米関税交渉への影響は?
鉄鋼の追加関税2倍の「50%」に

日本時間31日の朝。USスチールの本拠地ペンシルベニア州ピッツバーグでー
トランプ大統領:
「我々はきょう、歴史ある米国企業が米国企業であり続けることを保証する大きな合意を祝うためにここにいる。USスチールは素晴らしいパートナーを得ることになる」
ヘルメットに作業着姿の労働組合員も多く登壇し、声高らかに演説したトランプ氏。「日本製鉄は140億ドル(約2兆円)を投資すると約束した。これはペンシルベニア州で史上最大の投資であり鉄鋼産業史上最大の投資になる」と成果をアピールし、改めて強調したのが…

トランプ大統領:
「一番大事なことはUSスチールが米国にコントロールされ続けることだ。そうでなければ私は取り引きしなかった」
そして、アメリカに輸入される鉄鋼に25%の追加関税を課し「50%」にすることも発表した。
買収成否のカギ?「黄金株」とは
集会では最大の焦点になっていた【日本製鉄によるUSスチールの完全子会社化を認めるか】についての言及はなかったが、25日には「投資であって部分所有だ。米国がコントロールする」と強調していた。これはどういうことなのか。
『ニッセイ基礎研究所』井出真吾さん:
「アメリカ側はUSスチールを完全に日鉄に譲り渡すつもりはないと。経営権は一定程度渡したとしても最終的にコントロールする権限はアメリカ側が持ち続けたい意向を示している。そこで出てきたのが“黄金株”」

「黄金株」とは、経営上の重要事項に拒否権を持つことができる特別な株式のこと。27日、共和党のマコーミック上院議員がテレビ番組で「黄金株をアメリカ政府が持つ案が検討されている」と発言した。
井出さん:
「例えばアメリカ政府が黄金株を1株だけ所有していれば、USスチールの取締役の指名や他の企業との重要な業務提携などの経営方針に反対・拒否権を発動することができる。アメリカ政府にしてみれば鶴の一声を発することができるものだし、日鉄側から見れば苦肉の策かもしれないが、“完全子会社化を手に入れるための魔法のステッキ”みたいな言い方も出来るのかもしれない」