黒田裕美子弁護士「被害者の方は複雑な思いを抱くのがほとんどだと思う。被害者は終わらない被害を抱えて、ずっと時が止まったような状態であるにも関わらず、加害者の方が更生という未来に向けた取り組みを進めるというところについて思うところがあるという方の方が多いと思っている」

前田直輝記者「熊本刑務所の大坪誠所長は、被害者や被害者の遺族がそういった思いを抱くということは十分理解していると。ただ、その中でも再犯者率が高止まりしている現状があるので、何か手を打たなければいけない。再犯を一人でも減らすために何ができるか、どうすべきかということを考えながら日々仕事をしていると話していました」

――受刑者の受け止めは?

前田直輝記者「受刑者の中には、熊本刑務所には無期懲役の受刑者がいるので、拘禁刑になっても、出所するつもりはないから、あまり関係がないというようなニュアンスの話をしている受刑者もいました。被害者に対してどういったことを思いますか?と尋ねても、被害者に関しての話はなかなか出ないということはあったかなと」

黒田裕美子弁護士「結局、被害者としては加害者に刑務所の中で償いをしてほしいと思っているのがほとんどだと思います。被害者に対しての言及がないということであれば、やはり問題だと思っています」

――更生プログラムに実効性は?

黒田裕美子弁護士「大人ですと、これまでの人生経験が積み重なっている状況ですから、短期間の更生プログラムでどのくらい変わるのかというところは私自身は疑問に思ってしまう」

前田直輝記者「刑務所としては〝緩める〟という意識ではなくて、ひとりひとりに必要な処遇をしていく。作業が必要な人にはこれまで通りしていきますし、作業が身体機能・認知機能からできないという人は高齢者・福祉的な取り組みを進めるかたちになりますので、ひとりひとりに応じたやり方に重きを置くことになります」