食卓でもお馴染みのワカメやヒジキなどの「海藻」。海に囲まれた日本周辺には、およそ1500種類もあると言われています。その力を活かして、海の豊かさを守ろうという取り組みがはじまっています。
次々と盛り付けられていく甘えびやトマト。さらに、鮮やかなピンク色で彩りを添えるのは海藻の一種、「トサカノリ」です。
シーベジタブル 石坂秀威シェフ
「酸味がきいているものと、すごく相性がいいです」
一方、こちらは「ミリン」という海藻。
シーベジタブル 石坂秀威シェフ
「中にとろみがあって、だからトロなすと一緒にあわせた」
石坂秀威シェフは、みそやしょうゆなど海藻をつかった調味料も作っていて、まだ知られていない海藻のおいしい食べ方を開発しています。
シーベジタブル 石坂秀威シェフ
「海藻は食材として本当に全然使われてきてない、まだまだ誰も探っていない可能性がある」
しかし、海の中では異変が…
地元の漁師
「わかめも3分の1…」
「海藻、ちょっと生えんようなったな」
「地球の温暖化がいくらか影響したんじゃないかな」
熊本県天草の漁師たちは、海水温の上昇などから海藻が減ってしまったといいます。
こうした課題を解決するべく、海藻の養殖に乗り出したのが、先ほどのテストキッチンも運営するスタートアップ企業、シーベジタブルです。
シーベジタブル 蜂谷 潤共同代表
「水温が上がって海で育たないなら、陸上に持ってきて生産することで、水温を管理しながら、うまく生産できるんじゃないか」
こちらの拠点では、ポテトチップスなどにも使われる「スジアオノリ」を陸上で養殖するほか、オンラインで海藻を使った商品の販売も手掛けています。
さらに…
記者
「陸上だけでなく、海でも海藻の養殖をしているんです」
2年前からは陸上の水槽だけでなく、海でも養殖を始めました。
シーベジタブル 蜂谷潤共同代表
「海に海藻があるっていう状況が、海の生態系にとってもすごく重要。海に海藻があり続けられるような状況を、今後作っていくのが1つのミッション」
また、海藻は植物と同じように光合成をするため、新しい炭素の吸収源として注目され始めています。
シーベジタブル 蜂谷潤共同代表
「海で養殖することで、一部は海底に沈んだりだとか、炭素固定には貢献できるんじゃないか」
こちらは富山県入善町。海に優しい養殖も始まろうとしています。
マルハニチロ 小梶聡常務執行役員
「今回のサーモン陸上養殖事業は、海洋汚染の防止や持続可能な水産資源に関連する事業」
入善町でサーモンの陸上養殖を始めるのは、食品メーカーのマルハニチロです。
陸上養殖は海での養殖とは異なり、サーモンのエサやフン等による海洋汚染を防ぐことができるほか、温度の低い海洋深層水を使うことで、温度管理のための電力使用が抑えられ、二酸化炭素の排出削減にもつながるといいます。
地元の人は…
入善町の人
「主婦の目からすると、すごくおいしいのが地元で食べられるのは素晴らしいこと」
また、サーモンの陸上養殖事業に使われる資金は、国内で初めての方法で調達されました。
マルハニチロ 小梶聡常務執行役員
「当社は国内初となるブルーボンドを発行いたします」
マルハニチロがきょう発行したのは、日本初の「ブルーボンド」です。
ブルーボンドとは、このサーモンの陸上養殖のように、海洋保全にかかわる事業などに使い道を定めた債券のことで、周囲を海に囲まれた日本では潜在的な市場が大きいとされています。
みずほ証券によれば、世界でのブルーボンド市場は3000億円を超える規模となっています。
今後、企業によるビジネスを通した海を守る取り組みが広がっていきそうです。
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