「社会保障のトリセツ」利用者の声
この本を実際に使ったり、推薦している人に話を聞きました。
以前も「人権TODAY」に登場してもらった「中高年発達障害当事者会みどる」の山瀬健治さんです。山瀬さんはこの本の利点をこんなふうに話しています。

「みどる」中高年発達障害当事者会・代表理事の山瀬健治さん
「社会保障は申請主義なので、知らない制度は申請できないという問題があって、じゃあどういう制度があるか広く分かるような本がないかと調べていました。社会保障って病気や障害があるなど特別な人が受けるイメージがありますけど、事故で失業とか、妊娠とか結婚とか、誰にでも起きることでいただける支援があるんですけど、申請主義なので知らない人には申請できないんですよ。
そこで一覧でどういう制度があるのか分かる本がないかと思って探してたら、この本にちょうど巡り合ったんですね。私は発達障害の当事者会を主催してますが、実はひとつ課題を抱えてる方って、言ってないだけで複数の課題、複合的な課題を抱えてらっしゃって、その時にこの本があれば、冒頭のフローチャートで自分が想定してなかったことまで保障が受けられるんだとか分かるので、とても便利なんですね。自分の会でこの本をご紹介すると、みなさん手に取ってパラパラって見て、『あ、これいいわ、買う!』って皆さんいいますね。手にして、すぐ使いやすさを実感できる本なんですよ」
山下さんによれば社会保障の説明が足りていなかったり、説明が難しかったために、本来受けられる支援を受けていない人も、相当数いるのではないかと感じるそうです。
また窓口の説明のしかたが不適切だとか、周囲の意見を気にして社会保障を受けるのにためらいを感じる人がいるのも弊害と考えられるそうです。
そこに関して山下先生は、こんな意見を言っていました。
福岡大学法学部教授・山下慎一さん
「この本に書かれている内容は、僕から見ると基礎的なことだと思っても、読んだ人から『知らなかった』とか「教えてもらってありがたい」って言ってもらえるんだなっていうのが衝撃でした。そういう基礎的なところすら、高校とか中学までの教育で教えず社会に送り出すって、結構危ないなって気もします。社会保障は誰でも受けられる基本的な法的権利なので、財源が税金のものでも、躊躇せずに使って欲しいし、使ってる人に対して批判するっていうのもすべきではない。というのが僕の考えです」
社会保障は、病気やけが、失業などのために、誰にでも、突然必要になる時があります。そういう時、こうした社会保障の仕組みを広く、わかりやすく解説した本は貴重ですし、本の存在を知っていることも重要だと思います。
また手元にあると、家族や友人に相談された時、一緒に見ながら相談に乗ったり、貸してあげたりできる便利な一冊だと思いました。
「社会保障のトリセツ」は弘文堂から1500円プラス消費税で発売されています。現在、最新版が第2版で、前に出た第1版とあわせ、約2万部発行されたそうです。書店やネット通販で入手できます。
(TBSラジオ「人権TODAY」担当:藤木TDC)