コメ農家の思い、今後の政策は?

「今までのコメが安すぎた」という指摘について、小川さんは現在の日本の政策・制度条件下でいえば「去年までのコメの値段は安すぎた」と評価しています。

コメ農家からは「5年前は玄米60kgで8000円だった時もあり、国や政府に農業を弄ばれている」「最低でも玄米60kgあたり2万2000円を割らない値段での取引をしてほしい」といった声があがっています。一方で消費者からは「コメの安定供給のためには価格上昇を受け入れる必要がある」という理解も示されています。

小川さんは将来の政策について、「国は2027年から水田政策を根本的に改めるとしている」と述べ、「食料の安定供給」を軸に議論される可能性を指摘しています。そして「今回備蓄米を出して、消費者がどう動くか、価格がどう動くかを加味しながら、新しい政策が練られていくのではないか」と展望を示しています。

「コメ」に対する特別な感情 日本にある課題

コメは日本人にとって特別な存在であり続けています。小川さんは「スーパーでほうれん草の価格が100円から150円に1.5倍上がっても、国のせいという話にならないが、コメの価格が1.5倍になると国の責任という話になる」と指摘し、日本人にとって「コメは他の食べ物とは違う特別な存在」だと述べています。
一方で、コメ価格の高騰は「コメ離れ」や「国産米離れ」を招く危険性もはらんでいます。輸入米についても「大手卸が輸入米を増やしている」現状があり、「消費者の動向がどうなるかが注目される」と小川さんは話します。
今後、国内のコメ生産・供給体制をどう維持し、適正な価格でどう提供していくか。日本の食の根幹にかかわる重要な課題に、社会全体で向き合っていく必要があるでしょう。

(TBSラジオ「荻上チキ・Session」2025年5月14日放送分から抜粋)