須坂市のふるさと納税の返礼品の産地が偽装されていた問題で、総務省は指定の取り消しも視野に6月にも判断を示す見通しです。
過去には、3つの自治体がいずれも2年間にわたって指定を取り消されています。


2008年のスタートから17年が経過したふるさと納税制度ですが、これまで、2015年に行われた、税務署での申請手続きが省略できる「ワンストップ特例制度」の導入を経て、2019年に、「返礼品は地場産の品物に限り、価格は寄付金額の3割程度にする」などの規制強化が行われました。

この規制強化を受けて、最初に指定を取り消されたのが、高知県奈半利町(なはりちょう)です。

奈半利町では、寄付額に対する返礼品の調達価格の割合を8~9割にまで引き上げていて、2017年度の寄付額は全国9位の39億円にまで膨らんでいました。

町役場の元職員が、返礼品を扱う業者から9000万円を超える賄賂を受け取っていたとする贈収賄事件にも発展し、2020年7月から2022年7月までの2年間にわたって指定が取り消されました。

寄付を受けられなくなったことで、2019年度には67億8800万円あった町の一般会計当初予算は、2021年度には28億4000万円に減りました。

次に、指定を取り消されたのは、宮崎県都農町(つのちょう)です。

都農町も、2020年度には全国5番目の82億円を集めていましたが、「3割ルール」を超える返礼品を送っていたのが理由で、2022年1月に指定を取り消されました。

寄付がなくなったことで、2022年度の町の一般会計当初予算は86億円と、前の年度に比べ43%減減りました。

寄付金の一部を基金として積み立てていたことから、これを取り崩して子育て支援事業などを続けたものの、新規事業は抑制せざるを得ない状況だったといいます。

3つ目の指定取り消し団体となったのは、2022年5月の兵庫県洲本市(すもとし)です。

寄付金の3割を超える額面の「洲本温泉利用券」などを提供していたことによるもので、市議会では、百条委員会を作って経緯を調べたほか、市が総務省にうその説明をしたり、虚偽の公文書を作成するなどしたことが明らかになっています。

こうした問題から、洲本市では、指定取り消しから2年間を過ぎても、寄付の募集再開に向けた申請が出来ず、2025年10月1日からの再開に向け準備を進めています。