敗れた対立候補の前知事・石井氏は旧統一教会側の選挙応援をどう見ていたのか。10月24日、初めて取材に応じた。
石井隆一 前富山県知事
「先方の方には旧統一教会さんですか、えらい熱心に応援されているらしいよ、という話は話題にはなっていましたね。子ども連れのお母さんみたいな方が、戸別訪問なさって。一生懸命、先方の候補をよろしくとおっしゃって回られたという風な話は耳にした」
チューリップテレビ 毛田千代丸 キャスター
「名古屋から応援に来たという複数の証言を得ていて。県外からの応援が来たという違和感は?」
石井隆一前知事
「あんまり個々のことはお答えしたくないんですが、県外からもたくさんいらしていたという話は、噂としては耳にしました」
一方の新田知事。旧統一教会と政治の関わりが浮上した2022年7月。選挙応援を受けたことを認めたが…
新田八朗 富山県知事
「一度、集会に話しに来なさいよという風にお声をかけていただいたので。これはせっかくの機会だと思い、行って、話をさせていただいた。それ以上でもそれ以下でもない。特に選挙が終わってからは、これといった関わりはございません」
しかし、その後まもなく、知事選の翌年(2021年)に教団関連団体「UPF」のイベント「ピースロードin 富山」で、挨拶していた事実をチューリップテレビが掴む。
チューリップテレビ 毛田 キャスター(2022年7月)
「2021年、ピースロードに参加されたと思うんですけど、なぜ参加された?UPFのイベントとわかって参加したのか?」
知事はその場では答えず、後に「ピースロードが旧統一教会と関係しているとは知らなかった」と話した。
■「あの人たちがいなかったら当選していなかったかも」富山の議員と教団の“ずぶずぶ”な関係
このイベントには他にも多くの政治家が参加。選挙応援を受けていたのは知事だけではなかった。

藤井裕久 富山市長(7月)
「純粋に選挙の応援をしていただいていると…えーっと世界…平和統一家庭連合?」
そして高岡市の角田悠紀市長も応援を受けていた。
さらに教団の関連団体・富山県平和大使協議会の集会にも多くの議員の姿が。

稗苗清吉 富山県議
「3年前(の選挙で)応援をしていただきました。『来てくれ』じゃなくて、向こうと“あ・うんの呼吸”で。会合もしてたからね。富山の市会議員などは何人か喜んで参加しています。それは、選挙と無縁ではないと思う」
選挙応援についてあからさまに語る市議もいた。
ーー旧統一教会の関連団体から支援を受けたことはありますか?
田辺裕三 富山市議
「ありますよ。向こうから来てくださって。あの人たちがいなかったら、当選していなかったかもしれない」
チューリップテレビの取材で、次々と明らかになる教団側と富山の政治家との関係。それは、14年以上前から続いていたとみられる。
富山大学 斉藤正美 講師
「前会長の徳野英治さんは富山大学のOBなんです。このあたりが色々ずぶずぶなのは、統一教会の幹部の人が富山県に何人もいる、出身者がいる」
過去3回の選挙で、教団応援を受けた市議もいる。
高田重信 富山市議
「撮影なしだって言ったろう!ちょっと待てよ!映すなって」
カメラでの取材を断り続けた市議・高田重信氏は2020年の知事選で自民党県連の決定に反して、いち早く新田氏を支援した。
2022年1月、市議会の自民党会派は分裂。新田氏を応援した高田市議らは、新たな会派を結成した。分裂の原因を、元の自民党会派の江西照康市議はこう語る。
江西照康 富山市議
「(分裂の際には)ある程度、統一教会がいろんなところに参画してきていることに、すでに気付いていた。私どもの会派が割れたのも、それが1つの原因でもあるので」
江西市議ら、元の自民党会派は10月20日に会見を開いた。
久保大憲 富山市議
「政策立案への影響については、会派分裂前に影響があった」
高田市議が政調会長だった当時、旧統一教会関連団体の幹部を呼んで、家庭教育支援条例の勉強会を開くなどしていたことが理由だという。
一方、高田市議らの新たな会派は政策立案への影響はなかったと主張。高田市議がついに私たちのインタビューに応じた。
高田重信 富山市議
「今となっては利用されているということもあったかもしれないけど。当時はね、政策的考え方を共有できる部分もあったし、むこうも考え方が近くてアクセスしてこられたと思うんですが。間違った情報なり、それを与えていたということであれば今からでも謝らなくちゃいけない」
過去6年間で27回も旧統一教会関連のイベントや集会に参加していたという。高田市議は教団と関係を絶つと明言し、こう語った。
高田重信 富山市議
「次の選挙は厳しくなるかもしれない。ずっと下の方からぎりぎりで当選しているから」