国重文「上時国家住宅」は、「近世木造民家の一つの到達点」と評される

奥能登、輪島市と珠洲市の境にある町野町。曽々木海岸から南へ進んだ山すその高台に国の重要文化財「上時国家住宅」は、あります。

1960年頃の上時国家住宅 MROライブラリーより

上時国家住宅は、江戸末期の建築物とされ、茅葺き屋根の高さは18メートル(最頂部)、入母屋造り、「平家にあらずんば人にあらず」で知られる平時忠の官位に由来する大納言の間は、縁金折上格天井、文化財指定の際には「近世木造民家の一つの到達点」と評されました。

2024年1月の能登半島地震では、主屋などが倒壊し、復旧に向けた現地調査が行われているさなかに、同年9月の奥能登豪雨、後ろの山が大規模な崩落を起こし、倒壊した主屋は土石流の直撃は免れたものの泥が入り込みました。。文化財ではないものの敷地に建てられていた、管理用の住宅など関係施設は土砂に埋まり、公費解体されることになりました。

2025年9月の奥能登豪雨では敷地に泥が入り込んだ 提供:時国健太郎さん

国や関係団体の調査が終わり、工期は2026年度から11年間、今年度=2025年度からは事前着工として、作業用の通路の確保、屋根などから内部に水が入らないように養生、国の名勝でもある庭園では、倒れた木の切り出し、池からの泥のかき出しなどが行われる予定です。