石川県輪島市にある国の重要文化財「上時国家(かみときくにけ)住宅」は、2024年1月の能登半島地震で主屋が倒壊し、9月の奥能登豪雨でも甚大な被害を受けました。

2025年春復旧に向けて様々な調査や復旧に関する工事、費用負担にのめどがつき、2025年度からは復旧のための事前工事、2026年度から正式に工事が始まります。

能登半島地震で被害を受けた上時国家住宅(国重要文化財) 提供:時国健太郎さん

地震発生から1年5か月が過ぎ、奥能登では公費解体や復旧復興に向けた動きが加速していますが、文化財は、これから再建に向けた道を本格的に歩みだすことになります。

800年、25代続く歴史を次の世代へ、74歳の当主には、今もなお住宅の下敷きになっている調度品や資料の状況は把握できず、長期間の工期のため完成を見届けることが出来るのか様々な不安を抱えつつ、今を迎えた時国さんにこれまで経緯と思いを聞きました。

※上時国家は、壇ノ浦の戦いの後、捕らえられ能登へ流された平家第一の実力者・平時忠の子である「時国」を祖とする。源氏の追及を逃れるため、姓を「時国(ときくに)」と改め、珠洲市と隣り合う現在の輪島市町野町へ居を移した。その後分家し、上時国家(輪島市町野町南時国)、下時国家(輪島市町野町西時国)に分かれた。

上時国家は、「天領の大庄屋」として名字帯刀を許され、製塩業や海運業も手掛けていた。