“闇バイト”をあっせんする「中国人グループ」の存在
こうした不正利用への関与が疑われるのが、“闇バイト”をあっせんする「中国人グループ」です。
去年、大阪府吹田市内のコンビニで加熱式たばこを不正購入したとして中国籍の男が逮捕されたケースでは、犯行用スマホ26台が押収され、1台あたり3人分の日本人のカード情報が入っていました。逮捕された男は「スマホを渡され、タバコの代理購入のアルバイトをしていた」と供述。中国人グループによる闇バイトに関与し、だましとった加熱式たばこは中国で転売するつもりだったとみられています。
今年1月には、さらに詳しい実態を知る中国籍の男が大阪府警に逮捕されました。日本人名義のカード情報でゲーム機の付属品を購入した罪などに問われた元留学生の男(23)は、フィッシング詐欺で盗みだしたカード情報をスマホに登録する作業もしていたとされています。
捜査関係者によりますと、手口はこうです。まず、業者に依頼して日本人相手に一度に数万から数十万件の偽メールを一斉に送ります。被害者がメールを開いて偽サイトにアクセスすると、元留学生の男のパソコンからアラームが鳴ります。これは被害者が“釣れた”という合図です。
被害者がカード情報を入力すると元留学生の男のパソコン画面に情報が反映されるため、すぐさま不正決済用のスマホに情報を入力。さらに、本人確認を行う「2段階認証」には制限時間があるため、これらの作業をリアルタイムで行っていたとみられています。
もともと日本のアニメが好きで関西の大学に通っていた元留学生の男は、5月9日の裁判で懲役2年6か月・執行猶予4年の判決を受けました。公判中、闇バイトに手を染めてしまったきっかけを問われると、「学費が払えなくなり『小紅書(シャオホンシュー)』で仕事を探した」と話していました。