「夫の遺体はクリスマスに帰ってきた」戦い続けた妻の20年

2025年11月、鹿児島市で開かれた犯罪被害者支援フォーラムで、殺人事件で夫を失った近藤さえ子さんが、体験を語った。

「私は20年前、夫を殺した加害者がうらやましくて泣きました。なぜ、悪いのは加害者なのに、加害者ばかりが守られるのでしょうか」

当時、東京都中野区議会議員だった近藤さえ子さんの夫(当時40歳)は、2004年11月、勤務先の総合商社から商権を持ち逃げして辞めていた元上司と、雇われた5人の若者たちによって拉致・殺害された。

そして残された家族を待っていたのは、想像を絶する苦しみと、冷たい社会の現実だった。

被害者が「忘れられた存在」だった時代から、支援の最前線で声を上げ続けてきた彼女の歩みは、日本の犯罪被害者支援の歴史と重なる。

彼女が直面した壮絶な体験と、社会への切なる願いとは。