天然記念物はねたら罪に問われる?
センターによりますと、天然記念物であるツシマヤマネコを車ではねた場合、故意でない限り罪に問われることはありません。ただし、通報の遅れは救命率を下げるため、対馬野生生物保護センターは事故を起こした際にはすぐに連絡するよう呼びかけています。
一方で、故意に傷つけた場合や違法捕獲・飼育をした場合は「文化財保護法」や「種の保存法」により重い罰則が科される可能性があります。
▶故意に傷つけた場合→「文化財保護法」違反
…5年以下の懲役または100万円以下の罰金
▶違法捕獲・飼育→「種の保存法」違反
…5年以下の懲役または500万円以下の罰金
春から夏、明け方夕暮れは要注意!
ツシマヤマネコは、特に明け方や夕暮れ時に活発になる「薄明薄暮性」の動物です。ネズミを狙って、明け方や夕暮れ時に活発に動き回ります。
さらに春から夏は出産・子育ての時期にあたり、子ネコが道路に飛び出してくるケースも少なくありません。対馬野生生物保護センターでは、島内での運転時はスピードを控え、慎重な運転を心がけるよう呼びかけています。
ツシマヤマネコの現状
ツシマヤマネコは、日本では対馬だけに生息する野生のネコ科動物で、約10万年前に大陸から渡ってきたと考えられています。
1971年には国の天然記念物に、1994年には国内希少野生動植物種に指定されました。環境省レッドリストでは最も絶滅のおそれが高い種として「絶滅危惧IA類」に分類されています。
生息地の減少のほか河川改修や道路建設などによる生息地の分断、そして交通事故などで絶滅の危機に瀕しており、環境省・長崎県・対馬市が協力して、絶滅回避のための保護活動を続けています。