1号機はその一生を終え…『木』の特性を生かした2号機の開発に着手

 あれから5か月。木造人工衛星はどうなったのでしょうか。

 (土井隆雄さん)「通信はできなかったんです。1号機が京都の上空を通るたびに学生チームが通信室につめて通信を試みたんですが、残念ながら通信できませんでした。1号機は4月4日に地球の大気圏に再突入して、そこで一生を終えました」

 側面に取り付けられたワイヤー状のアンテナが宇宙空間でうまく開かなかった可能性があるといいます。一方で大きな収穫も…

 (土井隆雄さん)「木造人工衛星が宇宙空間でちゃんと存在できるのか確かめるのが、一番の目標だった。そのままの姿で宇宙空間に存在していたので『やった』と思いました」

 木は宇宙空間でも十分通用することが確認されたのです。そこでいま開発を進めているのが木造人工衛星の2号機です。アンテナ部分を大きく改良しました。

 (土井隆雄さん)「1号機と同じようにアンテナをこの面に持っていますけれども、木造人工衛星の内部にアンテナをいれようと」

 1号機は、宇宙空間に放出されたあとアンテナが開いて通信する仕組みでした。しかし、その過程で問題が発生した可能性があります。そこで2号機ではアンテナを衛星の内部に入れることにしました。こうすれば宇宙空間で開く必要がなくなり、トラブルを回避できるというわけです。素材が電波を通す『木』だからこそ実現できたアイデアです。