戦後、原爆資料館の館長も務め

戦後、広島市の職員を経て、1993年から5年間、原爆資料館の館長を務めた原田さん。国内外の要人に館内を案内する中で、被爆体験を語ってきました。しかし、最初は不安があったといいます。
「私の前の館長は川本館長と高橋館長で、彼らは自分の体に大きなケロイドを残していました。いざとなったら自分の体を見せればわかるんですよね。でも私は無傷だから、やろうとしてもできません。だから訴える力が弱いというか。本当にできるのかなと、対話していけるのかなと言うのが強かった」

そんな原田さんを奮い立たせたのは、被爆の現状が世界に知られていないという現実でした。
「被爆体験が十分相手に伝わっていないことが、ある程度分かってきた。特にアメリカは全く知らない。原爆を落として多くの人の命を救った、戦争の終結を早めたとか、一般的な議論の中で動いてました。『それは違う』と言わないといけない。それが私の立場であろうと」