わずか2%…消費者まで届かない備蓄米

一方で、備蓄米についてはこれまで3回入札が行われ、過去2回分のコメの行方を調査した農水省のデータが発表されました。それによると、備蓄米が21万トンあって集荷業者、卸売業者と流通した段階で、備蓄米全体のおよそ10%しか卸売まで届いていない、スーパーなどの消費者まで届いたコメは全体のおよそ2%に留まっています。

なぜなのでしょうか?専門家に聞きました。

入札の“ルール” 流通遅くなる要因に

コメ不足の対応として、3月から放出が始まった備蓄米。これまで21万トンが落札されましたが、4月13日までにスーパーなどの小売り業者に届いたのは、4279トンとわずか2%ほどです。

農業経済が専門・福島大学 小山良太教授「今回、いままで(コメの)取り引きがなかった業者が参入して、市場の価格を高騰させないように取り引きのある業者にしか販売(落札)できないルールになっている。そういうルールを決めたことで流通のスピードは下がった」

入札条件には「政府が、備蓄米を落札した業者から、落札分と同じ量のコメを買い戻すこと」などが盛り込まれていて、小山教授はそうした条件が取り引きを複雑にしていると指摘しています。

小山良太教授

小山教授「そもそも価格高騰を防ぐために備蓄米を出しているのに、そこに多くの業者が参入して、それぞれが利益を上乗せして、さらに市場を混乱させるのがよかったのか、時間がかかっても安定した金額で買い戻しもさせる売り方がよかったのか難しいところではあります」

今後のコメの価格について小山教授は、十分な備蓄米が店頭に並ぶ6月ごろにかけ、徐々に下がるのではないかと分析しています。