質が下がれば意味がない“無償化”

今年度からは市が給食の予算を管理する形に変わりましたが、そもそも行政が全額負担したり、保護者が毎月給食費を支払ったりと、自治体ごとに給食制度がバラバラであることが好ましくないと専門家は指摘します。

(千葉工業大学 福嶋尚子 准教授)
「自治体によって給食自体を提供していないところや、給食費を保護者負担のままにして、安定的に供給できない状況を見ないふりしている自治体もある。体制自体が格差を生んでいるので、自治体がどんな財政力だろうと、国が全国一律にやっていかないといけない」

(石破茂 総理:ことし2月)
「まずは小学校の給食無償化を念頭に、安定した恒久財源の確保策とあわせ、令和8年度以降できる限り早期の制度化を目指したいと考えております」

年間約4900億円の財源が必要となる全国の公立小中学校などの給食費無償化。こんな心配の声も…。

(街頭インタビュー)
「今の質を保っての無償化だとうれしい」
「いい思い出の給食が質素になって、わくわくが減るのは寂しい。質が落ちるリスクがあるなら、給食費ではないところを無償化にしてほしい」

無償化するだけで質が落ちるのではないか。そこには政治への不信も見てとれます。

(千葉工業大学 福嶋尚子 准教授)
「これを下回ると十分なものが作れないというラインを下回らせない仕組みが必要。給食を無償にした、税金が財源だから最低限しか出せなくなった。そのことで質が下がったとなったら無償にする意味がない」

子どもたちにとって、学校では勉強と同じくらい重要な給食。無償化への議論が進む中、そのあり方が問われています。