「覇権国」と「ドル安」両立できる?

トランプ政権は赤字削減のためにドル安を望みながら、一方でドルの基軸通貨体制は絶対譲らないという姿勢だ。
<強いアメリカ>と<弱いドル>の両立は可能なのだろうか?

共同通信・元ワシントン支局長の杉田さんに聞いた。

『共同通信』客員論説委員 杉田弘毅さん:
「彼らは希望的観測で両立するということで動いているが、今回の関税発動直後の色んな動きを見ると、やっぱりそれはちょっと難しいねと。少しでも国債が売られたような気配があったり、ドルが弱含むとすぐに関税を一時停止している。そしてどちらを取るかというと、<ドルの基軸>だと思う。アメリカの世界での覇権を支える大きな柱は、やはりドルなので、そこは崩したくないという本音が出てくると思う」

「第2のプラザ合意」できないワケ

また、第2のプラザ合意(マールアラーゴ合意)ができ「ドル高是正」が掲げられるのではという憶測も飛び交ったが、為替ストラテジストの花生さんは「それはほぼ不可能に近い」と断言する。

花生さん:
「プラザ合意の1985年当時と比べて今の為替市場の規模は極端に言えば2桁違う。なので介入も含めて政治的な動きで太刀打ちできるはずもない。やはりマクロ的なデータも含めて合理的な政策をとっていかないと、結局政策が失敗してそれが回り回ってドルの信認に波及してしまうというのは、一番やばいシナリオ」

――ドル安で合意したら、弱いドルをみんな信用しなくなり“弱いアメリカ”になってしまい、これまた困ると

花生さん:

「そういう意味で言うと、今回ベッセント氏も含めてアメリカは大人の対応、非常に注意深い対応を取ったと思う」

(BS-TBS『Bizスクエア』 2025年4月26日放送より)