今回の「この人に聞く」は、今年1月に着任した鹿児島地方気象台のトップ・前田緑朗台長です。間もなく梅雨時期に入る鹿児島県内ですが、大雨など、自然災害への備えとして大切なことは何か聞きました。
晩酌で鹿児島の焼酎を飲むのが好きと語るのは、鹿児島地方気象台の台長、前田緑朗さんです。
前田さんは鹿児島市出身の59歳。清水町で育ち、子どもの頃はよく吉野公園や多賀山公園で遊んでいたということです。ラサール中・高校までの18年間を鹿児島で過ごし、気象大学校へ進学しました。
気象に興味を持ったきっかけは、ラジオのNHK気象通報を聞いて天気図を書いたこと。
前田さんの最初の赴任地は神戸。新米職員の前田さんが、天気に関する電話の問い合わせを受け付ける係をしていると、こんなクレームの電話も。
Q.初任地でのエピソードは?
「甲子園の弁当屋のクレーム。雨が降って100万損した!とか。そう言われましても・・・予報は予報ですから」
一方で、これまでで最も印象に残っているのは、2011年の東日本大震災だそうです。
「テレビつけたら津波が遡上していた。生で見た。本当に衝撃だった」
前田さんはこれまで、地球温暖化に関する仕事の経験もあり、地球環境の変化をこう指摘します。
「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書でも、温暖化が進むと山火事や火災が増えるとしている。今後、山火事を含め火災が起こりやすい状況になっている。
これまで経験したことがない大雨や風が起こる可能性がある。これまで大丈夫だったからという考えはやめていただきたい」
そして、間もなくやってくる梅雨時期や台風に対する心構え、さらに、いつ起こるか分からない地震や火山災害について、前田さんは。
「自分の住んでいる所にそんな災害が起こるかを調べておく。これまでに経験したことのない大雨が降る可能性がかなり高くなってきている。大変なことになるかもしれないことも考えながら、大雨に備えていただきたい」
「地震の場合は、家具が倒れないようにする備えはできる。桜島の場合は、いち早く避難をすること。体制整備や訓練を続けて、いざというときに速やかに動けるようにしておくことが大事」
「何か起こった時にできるだけ犠牲者が減らせるよう、気象台は情報を出すので、使っていただきたい。事前の備えが一番」