停滞するウクライナの和平に向けた交渉。ゼレンスキー大統領が領土をめぐり譲歩しない姿勢を示していることに対し、アメリカのトランプ大統領が苛立ちを強めています。

記者
「ロンドンでの協議はどうでしたか?」
アメリカ トランプ大統領
「うまくいったと思いますよ」

ウクライナ和平に向けた協議について質問され、珍しく、ため息をついたトランプ大統領。停滞する交渉に苛立ち、その矛先をゼレンスキー大統領に向けています。

アメリカ トランプ大統領
「ロシアとは取り引きができているが、ゼレンスキーと取り引きをしなくてはいけない。ゼレンスキーの方が容易だと思ったが、難しかった」

イギリス・ロンドンでは23日、ウクライナと欧米による外相級の会合が予定されていましたが、アメリカが直前に、ルビオ国務長官の欠席を発表。高官級に格下げされました。

アメリカがウクライナに対して苛立ちを強めている理由は、ゼレンスキー大統領が示す、領土をめぐり譲歩しない姿勢です。

トランプ政権は、ロシアが一方的に併合したウクライナ南部・クリミアをロシア領として認めることを含む和平案を示したと報じられていますが、ゼレンスキー大統領は22日、「占領を法的に認めることはない」と発言。

また、23日には、2018年に第1次トランプ政権の国務長官がロシアのクリミア併合を認めないとした「クリミア宣言」の文書をSNSに投稿しました。

こうした姿勢について、トランプ大統領は。

アメリカ トランプ大統領
「ロシアとの和平交渉にとても有害だ。ゼレンスキーの扇動的な発言がこの戦争の解決を難しくしている」

SNSでゼレンスキー大統領を強く非難しました。

ホワイトハウス レビット報道官
「大統領は苛立っています。我慢の限界に近づいています」

一方で、ウクライナに対するロシア軍の攻撃は続いています。首都・キーウでは24日未明、ロシア軍によるミサイルやドローンでの攻撃がありました。ウクライナ当局によりますと、8人が死亡し、子どもを含む70人以上がけがをしたということです。

進展がなければ、仲介を断念する可能性も示しているトランプ政権。交渉の先行きは不透明なままです。